タイトル |
農業用水路の非破壊連続画像撮影システム |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
(株)ウォールナット)
コマツエンジニアリング(株))
奥野昇(共同研究
吉田典明(共同研究
森充広
石井将幸(島根大学)
石村英明
増川晋
中矢哲郎
長束勇
渡嘉敷勝
藤原鉄朗(共同研究
日本工営(株))
齋藤豊(共同研究
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発行年度 |
2006 |
要約 |
開水路や水路トンネルなどの水路系コンクリート構造物に発生している様々な変状を、暗所ではレーザー光、明所ではCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)ラインカメラを用いて効率的かつ高精度に非接触・非破壊で連続的に撮影できる。
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キーワード |
開水路、水路トンネル、変状、レーザー光、CCDラインカメラ、非破壊
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背景・ねらい |
農業用水路の機能診断調査は、目視調査による変状の記録が主である。しかし、目視調査には、記録が一般に紙媒体であり、経年ごとの変状調査における基礎データとして利用しにくい、断水時間が短い地区では多くの人を一斉に動員して調査する必要があり、経費がかかる、ひび割れ幅の判定に個人差があるため、年度ごとに行われる調査精度の一貫性が保てない、見落としなどの危険性がある、などの問題点がある。本システムは、これらの問題点を解決するために開発した非破壊連続画像撮影システムである。農業用水路に発生しているひび割れなどの変状を、レーザー光およびCCDラインカメラを用いて、迅速、効率的かつ高精度に電子情報として記録することができる。
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成果の内容・特徴 |
- 本システムは、開水路や水路トンネルなどの農業用水路内を走行しながら、水路壁面の連続画像を高精度デジタル画像として記録・保存できるシステムである(図1)。
- 水路トンネルなどの暗所では、レーザー光を壁面に照射し、その微弱な反射強度を記録することで、連続的にグレースケールのデジタル画像を記録する。水中部と気中部との明度の差が大きい水路トンネルの撮影において、画像が白飛び、黒つぶれしないよう、受信部のダイナミックレンジを拡大し,4,096階調の高い分解能を実現している。
- 開水路など、明るい場所では、7,500画素のCCDラインカメラを用いて、連続的に1,677万色のデジタル画像を記録する。
- 6地区(水路トンネル計3,480m,開水路計389m)で行った実証試験により、コンクリート構造物の水密性に問題を生じるといわれる0.2mm幅以上のひび割れであれば、撮影したデジタル画像からひび割れを認識できることを確認している(図2)。
- 装置を小型化、可搬化したことにより、狭い農業用水路(水路トンネルは直径1.3m以上、開水路幅1.0m以上)にも適用可能である。また、計測速度は1km/hrと、目視調査(1パーティ4人で1日500m程度が目安)と比較して効率的で、短い断水期間にも対処できる。
- 本システムによる調査は,搬入出,計測を6名体制で行う。2kmの農業用水路の変状調査に対して調査費を試算した結果では,図面作成まで含めると目視調査と同程度の費用で実施できる。調査距離が長く,変状が多いほど,効率的な調査が可能である。
- CCDラインカメラと赤外線サーモグラフィとを同時にラインスキャンすることにより、点検が難しい大規模農業水利施設、例えばダム洪水吐壁面高位部の浮き、ひび割れなどの変状を効率的に記録、検出できるシステムにも適用できる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- あくまで可視画像が得られるため、コケなどが付着している農業用水路のひび割れなどを撮影する場合は、事前の清掃が必要である。
- 残留水がなければ、水路底版の撮影も可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
水管理
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