タイトル |
農業用無人ヘリ活用を想定した農地地すべり地の地形地質調査技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
奥山武彦
結城洋一
黒田清一郎
柴崎亮介
中山文也(応用地質株式会社)
長井正彦
田中絢子(東京大学空間情報科学研究センター)
畠山晃陽
有吉充
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発行年度 |
2006 |
要約 |
農地地すべりにおける対策工施工前後あるいは被災前後の詳細な地形地質調査技術として、無人ヘリコプターをプラットフォームとした地形地質調査技術を提案した。
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キーワード |
農地地すべり、無人ヘリ、空中写真、3Dレーザ計測、空中電磁法地質調査
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背景・ねらい |
大規模な地すべりの移動状況、崩壊状況の把握に、高分解能空中デジタル写真やレーザスキャナデータは有効である。しかし崩壊前の情報が欠如している場合が多い。農地地すべり地を対象として簡易かつ低コストに適用可能な無人ヘリをプラットフォームとした地形地質調査技術を提案し、実際の大規模農地地すべりにおいてその有効性を確認した。
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成果の内容・特徴 |
- 空中写真による作成したオルソ画像およびDSM(Digital surface model)によって、中越地震で発生した大規模な農地地すべり(500×250m)の移動状況 を定量的かつ視覚的に把握できることを示した(図1)。またこのことから大規模な農地地すべり災害調査における空中計測技術の必要性、被災前後地形情報の重要性を確認した。
- 農地地すべり地における対策工施工前後あるいは被災前後の詳細な地形地質調査技術として無人ヘリをプラットフォームとした地形地質調査技術を提案した。本技術は、全国の農村地域において整備、利用されている無人ヘリへの搭載を想定しているので、空中調査技術としては低コストながら機動性もあり、崩壊によって立ち入りや機材搬入が困難な場所でも短時間に調査を行うことができる。(図2、3)
- 地形計測技術としては、東京大学空間情報センターが開発したGPS,IMU等の位置姿勢計測情報と画像情報、レーザによる地形情報を複合させ解析する技術を採用する。これは低コストな機材を使用しながらも高精度な地形計測技術が可能であることが特徴である。これにより農地地すべり地に発生する亀裂や変状状況の詳細な把握や、移動状況の把握も可能となった(図2)。また上空から広く計測を行うというプラットフォームは、通常の地上設置型3Dレーザスキャナに比べて、一般的には緩傾斜である大規模農地地すべり地に適用性が高い。
- 空中電磁法としては受信センサのみを無人ヘリに搭載し、送信電流源を地上に置く地表ソース型時間領域空中電磁法を採用する。同手法は1操縦局の調査で数百m四方、深度50~100m程度の地下3次元比抵抗構造の把握が可能であり、崩壊土塊の深度が数+mを超過するような大規模な農地地すべりにも有効である(畠山ほか(2006))。(図3)
- 上記の無人ヘリ空中電磁法によって崩壊した地すべり土塊を反映する低比抵抗領域を把握することができる(図4)。デジタルカメラ-レーザスキャナ複合技術によって地震後の崩壊状況と、その後に発生した河道閉塞を起因とする大規模な浸食状況等の詳細地形を把握できる(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
実際の調査適用においては、農村地域で既に普及し活用されている農業用無人ヘリに搭載することを想定している。大規模な崩壊を伴うような農地地すべりの緊急調査、崩壊危険地の事前調査等に特に有効である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
GPS
低コスト
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