地震時における地盤及び水路構造とその被害に関する検証

タイトル 地震時における地盤及び水路構造とその被害に関する検証
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2005~2006
研究担当者 浅野勇、向後雄二、林田洋一
発行年度 2006
要約  2004年新潟中越地震における震央から4~30km離れた9箇所の水路被災点について調査を行い,地盤及び水路構造が水路被害に及ぼす影響を検証し、水路の被災に影響を与える最大の要因が地盤条件であり、地盤・地質条件が良好な場合は、水路は通水機能の確保という面で,地震に対して高い修復性を有する。
キーワード 農業用水路、地震、被害、地盤、構造、液状化
背景・ねらい  平成16年(2004年)新潟中越地震で、震源地から30km以上離れた地点においても大きな被害が発生した。これは、地震による外力以外に、地盤及び水路構造が水路被害に大きな影響を与えていることを示唆する。このような水路被害に関係する要因を見いだせば、その要因を改善することで水路の耐震性を向上させることができる。本研究では、地震後の開水路の現地被災調査を行い、地盤・地質及び水路構造と水路被害の関係を明らかにし、地震時の水路損傷のパターンを解明する。
成果の内容・特徴
  1. 地震動以外に水路の損傷に大きな影響を与える第一の要因は,水路地点の地盤・地質条件であり、次に影響が大きな要因は水路の構造と考えられる。被災要因と被害の大きさの関係を図1に示す。水路が線的構造物であることを考えると,今後は主要な幹線水路における地盤・地質条件が良好でない部分の選定及び耐震対策が重要である。
  2. 地盤の影響を強く受けた水路の被害状況を写真1~3に示す。地盤の液状化及び沈下による水路く体の移動、土砂の流入、く体の曲げ破壊などが主な被災パターンである。地盤の変状が原因とされる水路被災では、水路く体の損傷の程度は小さいが、周辺からの土砂の流入による水路の埋没等で水路断面が確保できず、水路の通水機能が広範囲で低下する特徴がある。地震時における水路断面の確保が今後の耐震対策の課題である。
  3. 水路構造の影響を強く受けた水路の損傷事例を写真4~6に示す。写真4はフルーム型水路の損傷状況である.水路側壁のつけ根部約1mの部分に曲げひび割れと推定されるひび割れが発生した.片側盛土という構造的な要因により偏土圧が発生し、土圧のために曲げひび割れが発生したと推定される。フルーム型水路の破壊形態は地盤の変状が大きな地点にでも見られた(写真5)。写真6は自立式鋼矢板水路の損傷状況である。矢板の上部に土留めの笠コンクリートが打設されているため,矢板の上部重量が増し,地震による応答変位が増幅され,少ない地震外力によっても損傷が発生した。高盛土の水路、あるいは鋼矢板水路は耐震性の低い構造と考えられるため、今後の耐震性の向上あるいは、損傷後の応急復旧工法の開発が必要である。
成果の活用面・留意点
  1. 今回の地震時における水路損傷のパターンは、平野部における農業用水路の地震被害調査を基に考察した結果である。山岳部及び干拓地などにおける水路の地震被害については他文献を参考に活用されたい。
図表1 228147-1.gif
図表2 228147-2.jpg
図表3 228147-3.jpg
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