過疎地域のコミュニティ再編メカニズム

タイトル 過疎地域のコミュニティ再編メカニズム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 福与徳文
発行年度 2007
要約  社会システムの構造-機能-変動理論を、過疎地域のコミュニティ再編に適用すると、コミュニティ機能再生を目的とした統合型再編や、地域振興機能の獲得を目的とした連合型再編といったように様々な形態をとるメカニズムが明らかとなる。
キーワード 過疎地域、コミュニティ再編、社会システム、構造-機能-変動理論
背景・ねらい  過疎地域では、戸数や人口の減少、高齢化によって、資源管理機能、自治機能、生活互助機能、価値・文化維持機能、災害緊急支援機能といったコミュニティ機能の低下・喪失が見られる。低下したコミュニティ機能を回復・再生する方法の一つに、複数のコミュニティが統合したり、連合したりして一定数以上の戸数や人口を確保し、同時に自治組織の体制・機構を組みかえるコミュニティ再編が挙げられる。コミュニティ再編はその原因・目的によって様々な形態をとりうるが、コミュニティ再編のあり方は、外的条件によって一義的に決定されたり、行政から押しつけられるようなものではなく、住民自身によって意思決定されるべきものと考える。そこで社会学の理論に基づいて、住民の意思決定によってコミュニティ再編が様々な形態をとるメカニズムを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. コミュニティ再編を地域社会システムの構造変動と捉え、社会システムの構造-機能-変動理論(富永健一「行為と社会システムの理論」1995)を適用すると、コミュニティ機能の低下に対応した地域住民の意思決定によって、コミュニティが衰退・消滅に向かったり、移転型再編、単独型再編、統合型再編、連合型再編といった様々な形態をとりながら再編に向かったりするメカニズムをフローチャートとして示すことができる(図1)。
  2. 複数コミュニティが連携する統合型再編や連合型再編の場合、再編前のコミュニティの領域は、鈴木栄太郎(日本農村社会学原理、1968)のいう第二社会地区(自然村、村落、部落、集落)に相当し、再編後のコミュニティの領域は第三社会地区(旧村、学校区)まで拡大することとなる。統合型再編では従来の第三社会地区が新たに第二社会地区の機能を果たすようになり、従来の第二社会地区は第一社会地区(隣組、班)の機能を果たすだけとなる。一方、連合型再編では第二社会地区はその機能を保持したまま、新たな地域振興機能を果たすため、第三社会地区に連合する(図2)。
  3. コミュニティ機能の回復・再生を目的とする統合型再編では、失った機能を回復するのに充分な戸数、すなわち従来のコミュニティが元々備えていた戸数程度(40~50戸程度)が再編戸数として必要となる(たとえば表1の北海道標茶町のケース)。一方、地域振興を目的とする連合型再編の場合は、従来のコミュニティ以上の機能が求められるため、100戸あるいはそれ以上の戸数に再編する必要がある(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. コミュニティ再編に関する実証的研究を進めていく上での理論的枠組みとなる。
  2. 地域づくりのコーディネータが、地域住民による話し合いや、ワークショップの場で、コミュニティ再編フローチャートを提示して住民の意思決定を支援することができる。
図表1 228164-1.gif
図表2 228164-2.gif
図表3 228164-3.gif
図表4 228164-4.gif
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