参加者の植物知識に応じた住民参加型田んぼの草花調査の設計法

タイトル 参加者の植物知識に応じた住民参加型田んぼの草花調査の設計法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 松森堅治
嶺田拓也
廣瀬裕一
発行年度 2008
要約  農地・水・環境保全向上対策等で行う水田地帯の草花調査支援ツールを提供する。独自に開発したガイドブックに加え、事前・事後調査票に基づき、参加者の属性や人数、植物知識の多寡に対応したプログラムにより、参加者の満足度の高い調査を設計できる。
キーワード 水田畦畔、住民参加型、ガイドブック、調査票、調査プログラム
背景・ねらい  「田んぼの生きもの調査」については、これまで様々な図鑑、調査計画の設計法、調査マニュアルが公表され、農地・水・環境保全向上対策の農村環境向上活動に活用されている。しかし、畦草植生を対象とした「田んぼの草花調査」を計画する場合、住民参加型調査の設計法や支援ツールはこれまで提案されていない。そこで、さまざまな属性や参加人数に対応するシステム化された調査手法と用意された調査支援ツールを利用することにより、専門家による詳細な調査に頼らず、参加する農家・地域住民が満足できる調査を計画・実施することが可能となる。
成果の内容・特徴
  1. さまざまな参加者属性に対応する畦草調査のシステムは、1)参加者属性の仕分けによる適用プログラムの決定、2)新たに開発したガイドブック等の調査ツール群、から構成される。また、専門家が少なくても実施できるシステムである。
  2. 参加者の属性や人数によって「属性タイプ」を決定し、加えて事前調査票による参加者の理解度の確認から、P1~P6までの調査活動プログラムを決定する(図1)。活動プログラムは、参加者の属性に対応し、調査対象草種や作業単位を設定している。
  3. 調査活動は全120分とし、10名程度の小グループに分かれて各グループ1筆の畦畔(200m程度)を対象に植物採集し、ガイドブックを利用して同定・記録を行う。P1~P3では、調査ツールとして基本セットの他に、ルーペなども使用する(図1、2)。
  4. ガイドブックは、1)普通に見られる草種、2)水田畦畔でよく見られる草種、3)目立つ花や特徴的で見分けやすい草種、4)主な生育期が5~10月である草種、の観点から155種を厳選して記載し、花の色や花びらの数など豊富なインデックスを設け、初級者でも簡単に見分けられるように工夫されている(図3)。また、帰化植物も区別しており、調査対象とした植生の特徴として帰化率も算出できる。
  5. 「農地・水・環境保全向上対策」を実施する宮城県大崎市の6地区で本手法を適用したところ、調査で確認された総数の60%以上がガイドブック掲載種であり、参加者からおおむね満足との回答を得たことから、本調査手法は有効である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本調査手法は、「農地・水・環境保全向上対策」に取り組んでいる集落に対しても、具体的かつ適度なボリュームの満足度の高い活動メニューを提供する。
  2. ガイドブックは、各地の畦草調査において、出現種の60%以上が掲載されるように設計してあるため、全国で利用可能である。なお、標準和名で記載されているため、農家向けには、調査票等に植物の地方名を加えると、よりわかりやすくなる。
  3. 本調査手法は、主に畦畔植生に対象を絞ったものである。「田んぼの草花調査」として、耕地内や水路など他の農村植生に対する調査手法は準備中である。
図表1 228188-1.gif
図表2 228188-2.gif
図表3 228188-3.jpg
図表4 228188-4.gif
カテゴリ 水田

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