農業補習教育の展開とその意義

タイトル 農業補習教育の展開とその意義
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1992~1993
研究担当者
発行年度 1992
要約 戦前期の日本農村で,農家の子弟に対する農業補習教育の展開過程とその意義を実証的に検討し,運営は集落の伝統と機能に依存して行われ,農会の技術普及事業と密接な関連をもった教育により,農家の後継者の養成に重要な役割を果たした。
背景・ねらい 周知のように,戦前期の日本農業特に稲作の発展は,試験場で開発された改良品種と肥料の増投
が最も重要な技術的要因であった。その技術は農会の技術普及事業により,末端農家にまで普及
したが,同時に農会の指導を理解する農家の受容能力の形成も重要である。また1910~20年代の
農業をとりまく社会経済環境の変化に対応していくための知識も必要である。こうした観点から
義務教育修了後の農家の子弟に対して行われた農業補習教育が実施される社会的基盤と,教育内
容を秋田県の事例に即して検討する。
成果の内容・特徴
  1. 農業補習学校は1920年代にほぼ全国に普及するが,普及に効果があったのは,第一に教員養成や
    教員給与に対する補助金であった(図1)。

  2. 第二に,同校は集落の伝統的な教育機会である「夜学会」等を再編し,集落の機能と負担に依拠
    しつつ運営された。これも農村に定着させるのに効果的であった(表1)。 
  3. 農業教育の内容に関し特徴的なことは,農業技術普及機関である農会と密接な協力のもとで行わ
    れたこと,採種田や試験田での実習が重視されたこと,さらに当時農家で採用されていた農業技
    術と同じものが教えられていた(表2)。
  4. 同時に農家経営や農会産業組合などの経済問題も重視され,当時の社会経済環境の変化に対応す
    るための知識も教授された。
  5. 農業教育と同様重視された「公民教育」では,国家主義的イデオロギー教育もあったものの,同
    時に農村の行政・経済システムも「郷土教育」として重視されていた。
  6. 以上のことから農業補習教育は,農家の後継者と同時に,村の行政の担い手も養成されたという
    効果をもった。
成果の活用面・留意点 本研究は,行政村の事業の一環としての教育事業を取り上げたものである。それ故行政村の他の
事業や農会や産業組合等他団体との関連,および事業の需要者である農家や集落社会関係に留意
しつつ,理解される必要があろう。
図表1 228240-1.gif
図表2 228240-2.gif
カテゴリ 肥料 経営管理 品種

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