地域農業の維持・振興に果たす農地管理・流動化の推進主体の役割

タイトル 地域農業の維持・振興に果たす農地管理・流動化の推進主体の役割
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1990~1992
研究担当者
発行年度 1992
要約 担い手の育成,農地管理・農地流動化の課題を地域のレベルで解決する主体は地域類型差を持ちつつ自治体,農業委員会,農地流動化推進員,農協、集落等により重層的に構成され,それらの分業と共働関係の形成が今後も必要となっている。
背景・ねらい 農業の担い手の弱体化が進む中で,担い手の維持・育成,農地の保全・管理が農地管理・
流動化の課題となっている。それを地域のレベルで解決すべき主体は市町村,農業委員会,農協,集落等により重層的に構成されている。その実態と役割を解明した。
成果の内容・特徴
  1. 農地管理・流動化の推進主体は,農家,生産組織,集落さらには農業委員会,自治体,農
    協が重層的な構成をなしているが,その構成のされかたと役割は,市町村での課題とそれ
    への対応の仕方によって地域性がある。農業委員会とそれを補完する農地流動化推進員の
    構成(充実度)は農地流動化の態様によって地域差があり,賃貸借が進展している地域では
    農業委員・流動化推進員ともに充実しているが,委員会事務局体制は弱く,売買が進展し
    ている主要農業地帯では事務局体制が充実しているが農業委員と流動化推進員は少ない
    (図1)。農協は農地流動化が進展している地域,担
    い手不足地域で,担い手育成と農地流動化に果たす役割が期待されている
    (表1)。

  2. 各推進主体間の関係を自治体,農業委員会事務局,農地流動化推進員,農協について明ら
    かにした。農業委員会は農地の権利管理の主体であるが,事務局体制が弱い地域では自治
    体がその機能を代行している。流動化推進員の充実は集落代表者によって賄われるが,そ
    れが充実した貸借進展地域では農業委員会事務局体制が弱く,自治体が推進員の活動を掌
    握する結果になっている。農協は従来農作業受委託において機能発揮していたが,担い手
    育成との関係で農地流動化推進の機能が期待されている。集団的土地利用が数集落・旧村
    の範囲で行われ,そこが農地利用調整の場となって各推進主体の機能発揮がされている。
  3. 農地管理・流動化の推進主体は一般的には重層的構成をなすが,各地域でどこが農地利用
    調整のイニシアチブを発揮したかという対応の差によって推進主体の構成のされかたが異
    なっている。賃貸借進展地域で担い手育成を中心に農地利用調整に農協が積極的に関与し
    た地域では農協が推進主体の中心を担い,中山間地域で財政的制約から農業委員会事務局
    が弱くまた農協も不活発な地域では自治体が中心を担っている。
成果の活用面・留意点 農地に関する権利の管理は本来的に農業委員会の専掌事項であるが,農地の利用調整にお
いては農業委員会,自治体,農協等が重層的な構成をなしつつ関与していて,その構成の
されかたと役割は,地域のかかえる課題とそれへの各主体対応によって様々であり,それ
ら各主体の分業と共働関係の形成が必要となっている。
図表1 228258-1.gif
図表2 228258-2.gif
カテゴリ 中山間地域 なす

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