アジア開発途上国灌漑システム適正管理のための戦略

タイトル アジア開発途上国灌漑システム適正管理のための戦略
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1992~1992
研究担当者
発行年度 1992
要約 1980年代に「建設局面」を終了し「管理局面」に移行したアジア開発途上国の灌漑に関し,灌漑システム管理の問題点の摘出と,その維持管理を適正化するための戦略を検討した。
背景・ねらい アジア開発途上国の灌漑部門は,1980年代に「建設局面」を終了し「管理局面」に移行し
た。この「管理局面」に残された発展の潜在力は大きいが,それは先行した「建設局面」
で建設された灌漑システムの維持管理に十分な注意が払われなかったことに起因し,建設
後の不適切な維持管理により,期待されたパフォーマンスを実現せず,急速な荒廃にさら
されている。途上国政府や多額の援助を行ってきた国際的援助機関にとって緊急の課題と
なっているこれら施設の維持管理の問題点と適正化のための戦略を考察する。
成果の内容・特徴
  1. 現在の灌漑管理は,劣悪なシステムの維持管理→低いシステム・パフォーマンス→劣悪な
    システム維持管理という悪循環に陥っていることに問題点がある。

  2. 問題点の核心は,一般に考えられているような財政的なものではなく,資源の適正配分,
    適正利用にかかわる制度的制約の問題である。すなわち既存のシステムの適正維持管理に
    必要な経費は大きいものではなく,システムの修復改善と研究開発に必要な投資を含めて
    も,途上国内の財政資源で十分可能である。むしろ灌漑管理庁および受益農民両サイドに
    おける問題であり,灌漑管理上のソフトウエアの問題である
    (表1)。
  3. 解決の方向の第一は,灌漑管理庁の本来の任務である「適期に適量の灌漑水を安定的に供
    給する」ことについて,受益農民に対する「責務」を果たす方向での制度的革新を行うこ
    と。
  4. 第二は,長期にわたる公共部門による灌漑管理の歴史の中で全く受け身の立場におかれて
    きた受益農民を,農民組合に組織することにより,灌漑管理過程への「農民参加」を保証
    する方向での制度的革新が,同時に必要であること。
成果の活用面・留意点 今後,「農民参加」が可能となるための,開発途上国農村における社会構造,それに適合
的な政策・誘導手段の研究を深化させる必要があろう。
図表1 228261-1.gif
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