バングラデシュ農業発展を阻む構造問題

タイトル バングラデシュ農業発展を阻む構造問題
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1992~1994
研究担当者
発行年度 1992
要約 バングラデシュにおいて,農業生産性向上を阻む主な構造問題は,小作制度にあるのではなく,土地なし世帯を主な被雇用者とする雇用労働力依存型の大経営が支配的であることに求められる。
背景・ねらい バングラデシュの経済発展を阻害する要因として農業部門の低生産性を重視する立場に立ち
,農業生産性向上のための急所を探るべく,農業技術,農業政策,農業構造の各方面から検
討を加えた。とりわけ,有効な技術の開発・普及を促進するような農業構造上の制度的枠組
みを追求することに重点をおき,経営規模,小作制度の両面から,生産性阻害要因を特定化
すべく努めた。
成果の内容・特徴
  1. 経営規模と土地生産性は,負の相関関係にある。第一に大経営が農繁期に雇用労働を使う際
    ,取引費用や監視費用がかさむこと,第二に小経営が農閑期に自家労働を過小評価してまで
    働かざるをえないこと,が主な原因である(表1,
    図1~3)。

  2. 分益小作制度は,土地生産性の阻害要因とはいえない。分益制に内在する問題が,小作地に
    対する激しい競争によって,十分に打ち消されているからである。
  3. バングラデシュでは,他の南アジア諸国にもみられるように,小作による土地流動化が未発
    達であり,雇用労働に依存する比較的大きな経営が,全くの土地なし世帯と並存するような
    農業構造上の特徴を持っており,全体として,農業生産性向上を阻む要因となっている。
  4. かかる農業構造が生じた原因は,生産要素の貸借市場の未発達に求められ,それはさらに,
    農村住民間の希薄な人間関係,ないしは機会主義的な行動様式に根を持っていると考えられ
    る。農業政策の歴史を振り返ったとき,協同組合運動が殆ど失敗し,ドナー主導の民営化・
    規制緩和路線に転換せざるをえなかった理由も,ここにある。
成果の活用面・留意点 バングラデシュの農業・農村開発に対するわが国の援助を考える際,協同組合運動が失敗し
た原因を十分に踏まえつつも,民営化・規制緩和一辺倒では解決困難であり,農村住民の共
同行動が必要であるような分野については,適切な制度的枠組みを構築していくような忍耐
強い努力が必要と思われる。
図表1 228267-1.gif
図表2 228267-2.gif
カテゴリ 経営管理

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