生乳移送の地域間均衡に関する一考察

タイトル 生乳移送の地域間均衡に関する一考察
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1993~1995
研究担当者
発行年度 1993
要約 現状の生乳移送における「過少移送」と「過剰移送」とを解消し、「プール乳価均衡」を実現することによる生産者の集計的及び個別地域的な利益(あるいは不利益)を具体的に推定した。
背景・ねらい 現状の生乳移送における「過少移送」と「過剰移送」とを解消し、
「プール乳価均衡」を実現することによる生産者の集計的及び個別
地域的な利益(あるいは不利益)を具体的に推定し、指定団体が「
プール乳価均衡」を全国生乳移送の目的として採用する場合の1つの
具体的な指針を提供する。
成果の内容・特徴
  1. 全国を、生乳移送における実際の主要な地域別の移出・入関係をで
    きるかぎり反映するような23地域に区分し、「プール乳価均衡」水
    準の生乳移送ルート、移送量、地域別プール乳価を求め、それを現
    状と比較することによって、「過少移送」と「過剰移送」の並存の
    状況を地域別の経済厚生の変化によって示した。この結果、「プー
    ル乳価均衡」の実現による「過少移送」と「過剰移送」の解消によ
    り生産者余剰は全体としてかなり増加することが示された。また、
    それに伴う購入者側の損失は生産者余剰の増加に比べて小さいこと
    が示された。
    (表1)
  2. また、「プール乳価均衡」下の全国生乳移送ルート等のより現実的
    な推定値を求めるという観点から今回の推定結果をみると、モデル
    の精緻化によって解の現実性が一定程度高められたと考えられる。
    すなわち、本稿の推定値は他地域で加工向けに回されていた生乳の
    一部が当該地域の飲用乳市場に流入して飲用乳価が下がることによ
    り均衡がもたらされるというメカニズムをはじめて内生化した非線
    形連立同時方程式モデル(方程式数は72)を用いて、地域区分を23
    に拡大して求められた。したがって、今回のモデル及びそれを用い
    て求められた「プール乳価均衡」水準の生乳移送ルート、移送量、
    地域別プール乳価の推定値は、合理的な生乳移送のための1つの具
    体的な基準を提供するものである。
成果の活用面・留意点 今回の推定値は、一般的な競争的均衡における推定結果ではなく、
生乳市場における一定の規制を維持した上での「プール乳価均衡」
をベースにして得られたものであり、また、総生産(所与)の配分
に問題を限定した短期の分析結果である等の制約がある。
また、現状に比べて生乳移送ルートが激減するという結果が得られ
ることは、現状のモデルがなお単純化されすぎていることの証左で
もあり、今後、北海道内地域の細分をはじめとする、実際の個々の
輸送拠点をより反映した地域区分の導入、季節別データによる推定
、輸送上の最小単位の考慮等により、推定値の実用性を高めていく
必要がある。
図表1 228270-1.gif
カテゴリ 加工 輸送

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