米の生産調整と稲作所得・借地需要

タイトル 米の生産調整と稲作所得・借地需要
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1993
要約 経営規模を基準とする傾斜的な転作割当と奨励金の交付は、米のマクロ的な需要均衡、転作奨励金の削減、個々の農家の稲作所得の現状維持といった三つ条件を満たしながら、農地の流動化と矛盾しないことが示された。
背景・ねらい 米の生産調整について、以下の三つの論点が重要であろう。まず第
1に、生産調整政策と構造政策をいかに整合させるか。第2に、米の
需要調整といった食管制度の根底に関わる問題との関連をどう考え
るか。第3に、かりに一律的な転作に弊害が生じているとすれば、
制度をどのように改正すべきか。またその場合、農村内における公
平原理に配慮して、どういった点に制度改正の重点を置くべきか。
これらのことを念頭に置いて、生産調整政策に関する政策提言を行
った。
成果の内容・特徴
  1. 転作率、単位面積当りの転作奨励金(奨励金単価)を説明変数に含
    む所得関数を推計した結果、以下のことが明らかとなった。農家の
    稲作所得と借地需要は、転作奨励金単価の引き下げによって減少す
    る。また、借地需要は転作率の上昇によって増加する。これに対し
    て、転作の強化が稲作所得に与える影響は、奨励金単価と地代率の
    大小関係に規定され、前者が後者を上回っていた1986年まで、転
    作率の上昇は所得を増加させ、それ以降減少させる。
    (表1)
  2. 一律的な生産調整は農地流動化を阻害する。
  3. 生産調整と農地流動化の整合性、米の需給均衡、転作奨励金総額の
    削減、稲作所得の現状維持を制度改正の制約とした上で、以下の政
    策提言を行った。すなわち、大規模農家に対する転作の強化と奨励
    金単価の引き上げ、及び小規模農家に対するこれとは反対の組合せ
    の提示である。
成果の活用面・留意点 傾斜的な生産調整方式は、余分な行政コストを発生させ、米の需給
計画を困難なものとする。また、この方式は大規模農家の農地集積
と矛盾しないが、それを大幅に進展させることはありえない。
図表1 228274-1.gif
カテゴリ 経営管理 コスト

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