行政村の執行体制と集落――秋田県由利郡西目村の「形成」課程――

タイトル 行政村の執行体制と集落――秋田県由利郡西目村の「形成」課程――
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1993
要約 日露戦後の地方改良運動のもとで実施された部落有林統一、衛生、農業補習教育、道路整備等の事業を通じて、行政村レベルでの農業団体は、集落と安定した関係を形成することにより、政策浸透ルートとして整備された。
背景・ねらい 現在の農業政策の浸透機構=執行体制が、市町村レベルでいつどの
ように形成されたのかを、秋田県の一農村の歴史的経験を検討する
ことを通して、明らかにすることが課題である。具体的には行政村
の諸事業の執行過程の分析を通して、事業によって住民にもたらさ
れた「便益」、負担の配分、執行体制を、集落という住民のタイト
な社会関係との関係に焦点をあてる。
成果の内容・特徴
  1. 日露戦後行政村が実施した主要な事業である部落有林統一、衛生状
    態の改善、農業補習教育、道路・通信手段の整備は、いずれも住民
    の生産や生活の向上という便益をもたらしたが、実施に当たっては
    集落を通じて住民の同意を取り付け、同時に出役等の負担を配分し
    た。事業の実施を通して住民と行政村は、安定した関係を形成した

  2. 行政村が執行した諸事業は、補助金が事業経費の20~50%をまか
    ない、実施の大きなインセンティブとなった。また「府県税戸数割
    規則」の改正による村税の累進的な課税が事業の財政基盤を確保し
    た。
  3. 行政村レベルの団体の役員は、いずれも集落代表により構成され、
    集落の意向を踏まえて意思決定が行われた。特に西目村の場合年番
    という「集落長」が、住民と行政村とのインターフェイスとして重
    要な機能をはたした。
    (図1)
  4. 集落では、行政村の事業が集落の農家にとって、社会経済環境の変
    化に対応しその存続に役にたつものである限り、同意をし積極的に
    参加した。それにともなう負担は、集落の伝統的な「平等主義」に
    沿って住民に配分した。
成果の活用面・留意点 政策浸透ルートとして市町村レベルの諸団体の性格は、住民の社会
構造に規定されている。今後発展途上国のインフラストラクチュア
整備を進める上で、住民の社会構造に留意することが必要であろう

図表1 228287-1.gif
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