持続的発展論の視点による環境経済学の研究課題

タイトル 持続的発展論の視点による環境経済学の研究課題
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1992~1992
研究担当者
発行年度 1993
要約 環境制約や資源制約と経済発展の両立を目指す「持続的発展論」の視点から資源配分の効率性、世代内衡平、世代間衡平を条件として、環境経済学の研究動向を検討し、その結果を踏まえた政策的含意を示す。
背景・ねらい 1980年代に「持続性発展」の概念が提唱されると、「環境制約」
や「資源制約」と経済成長との両立の可能性に関する議論が再燃し
てきた。本研究では、この持続的発展論を縦糸に、これに関わる研
究領域を横糸に配して、環境経済学の研究動向を検討し、その結果
から示唆される政策的含意について論じる。
成果の内容・特徴
  1. 環境評価と費用・便益分析
    環境財は価格を持たないため、開発・保全の費用・便益を適切に評
    価することによって効率的資源配分が可能となる。しかし、開発利
    益の享受者と社会的費用の負担者が同一でないときには分配上も問
    題が生ずるから、環境評価においては慎重な適用が望まれる。
  2. 環境勘定
    環境と資源を考慮しつつマクロ経済的政策決定を行うために、環境
    勘定に注目する。環境勘定では、市場の不完全性をもたらす要因で
    ある知識の不完全性を補うために、環境や資源のフローはもちろん
    特にストックの情報に関する研究が重要となること、また、ストッ
    クの経済理論を構築することが環境勘定策定において不可欠である
    ことを指摘した。
  3. 炭素税の理論とモデル
    温暖化ガスによる地球温暖化は、南北間および現世代と将来世代間
    の分配上の不衡平をもたらすとともに、その対策費用は莫大である
    。そこで、市場機構を利用することで、より少ない対策費用と代替
    技術の開発を促すことが期待される炭素税について、帰属価格と環
    境経済学的アプローチから、その経済理論と経済的影響モデルを検
    討し、植林と組み合わされたCO2排出権市場が温暖化対策において
    重要であることを示した。
成果の活用面・留意点 第1に、環境の経済分析や費用・便益分析においては、世代内衡平
、世代間衡平、持続性や環境的配慮を条件として、信頼性の確かな
範囲内で環境評価を行うことが大切である。
第2に、わが国の農林水産関係データとデータ収集の人材や組織を
活用して環境勘定関連のデータを収集することは、国際的な貢献も
大きいと考えられる。
第3に、炭素税は一部諸国がこれを課しているに過ぎないので、す
みやかに炭素税や排出権市場の導入、炭素排出量の分配、CO2排出
のモニタリング等に関する検討が図られなければならない。
カテゴリ 温暖化対策 ストック 評価法 モニタリング

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