1980年代のアメリカにおける農業構造の変容――1987年農業センサスの分析――

タイトル 1980年代のアメリカにおける農業構造の変容――1987年農業センサスの分析――
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1993
要約 1980年代の農業不況の深化によりアメリカの農業構造は変容し、農場の階層分化が進み、上層は繁栄を続けるが、中間層以下は所得不振に悩み脱落して行く農家も多い。また零細層は安定兼業農家と貧困農場に二分される。
背景・ねらい 第二次世界大戦後1970年代初頭まで続いた趨勢と異なり農業が好
況を呈した1970年代には、農場の減少テンポは著しく低下し、農
場の階層分化の動きも鈍化するようになった。この趨勢は、農場数
自体が少なくなり、また階層間の生産力格差が増大しているもとで
は、80年代でも定着するかにみえた。だが、80年代には農業不況
が深化するなかで、農場の減少に拍車がかかり、すでに存立基盤が
弱体化していた中間層に加え、上層の一角を占める中規模家族農場
、即ち販売額5万~25万ドル層の農場減少が農業不況のなかで顕著
となった。また、1980年代初頭まで増加し続けた安定兼業農家を
主体とする、販売額1万ドル未満層の農場も減少に転じた。この傾
向を1987年センサスによって検討することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 農業経営だけで自立しうる農産物販売額10万ドル以上の上層の農
    場所得は、販売額が高まるに従って増大し、なかでも販売額50万
    ドル以上の巨大農場は隔絶した所得水準を誇っている。
    (表1、2)
  2. また、中間層の経営基盤は総じて脆弱化しているものの、販売額5
    万~10万ドル層は規模拡大を通じて上層に発展しつつある農場も
    含まれ、これら農場にとっては、上層の販売額10万~25万ドル層
    の場合と同様に、農産物計画は農場存続、農場経営にとって不可欠
    な役割を果たしている。
  3. 他方で、販売額1万ドル未満の零細層はその内容に異質な二つのタ
    イプの農場類型、すなわち安定兼業農家と、年金収入などに依存す
    る高齢経営者や不安定就業のものが含まれ、後者の大部分は典型的
    な貧困農場からなっている、ことがわかった。
成果の活用面・留意点 アメリカ農業は地域的多様性に富むので、本稿ベースでの構造分析
は、地域ごとの農業動向分析によって補足する必要がある。
図表1 228292-1.gif
カテゴリ 規模拡大 経営管理

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