アメリカの米需給調整政策――1985年農業法以降の変容を中心にして――

タイトル アメリカの米需給調整政策――1985年農業法以降の変容を中心にして――
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1992~1995
研究担当者
発行年度 1993
要約 アメリカの米需給調整政策の変容を、1985年農業法以降を中心に分析した。1985年農業法の下でマーケッティング・ローン制度が導入されたのを契機に過剰問題は急速に解消されたが、米需給システムは対外攻撃的なものに変容された。
背景・ねらい 1986年のRMA(全米精米業者協会)の我が国、韓国、台湾の米
市場開放を求めた最初の提訴にもみられるように、アメリカの米部
門においては、RMAが最初の提訴を行った当時の深刻な過剰問題
はその後急速に解消し、92年には生産調整の必要もなくなった。
本研究では、特に1985年農業法以降、過剰問題が急速に解消した
要因は何だったのか、またこの過程でアメリカの米需給調整政策は
どのように変容したのかを明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. アメリカの米部門は従来から穀物部門の中でも最も手厚い保護を受
    けてきたが、1980年代前半には過剰問題が深刻化する中でその保
    護の程度も一段と高まった。
  2. 1980年代前半には、80年代に入ってからの世界経済の成長鈍化、
    輸出競争国タイにおける輸出税の引き下げによる輸出価格の引き下
    げ、85年夏まで続いたドル高等の影響で輸出が低迷し、国内の過
    剰問題が深刻化する中で86年にはRMAによってわが国、韓国、
    台湾の米市場開放を求めた最初の提訴が行われた。
  3. しかし、この過剰問題も1985年農業法の下でマーケッティング・
    ローン制度が導入されたのを契機に急速に解消した。この制度の導
    入によって、国内の生産者には目標価格で所得補償を行い、輸出に
    関しては輸出価格を国際価格まで引き下げて米輸出が行えるように
    なり、タイとの輸出価格の格差は一挙に解消し、過剰在庫も急速に
    解消して、86年には35%だった減反率も92年にはゼロになった。
    (図1、2)
  4. マーケッティング・ローン制度は、アメリカのこれまでの輸出助成
    制度の中でも最も対外攻撃的性格を持っており、世界米市場の歪曲
    化を引き起こしている。
成果の活用面・留意点 自由貿易を強く主張するアメリカといえども米部門においては手厚
い保護が行われており、特に1985年農業法以降輸出助成が強化さ
れていることを理解することは、今後の対外交渉のあり方を考える
際の1つの参考となろう。
図表1 228293-1.gif
カテゴリ 輸出

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