世界の穀物貿易構造の変化と農産物貿易摩擦の構図

タイトル 世界の穀物貿易構造の変化と農産物貿易摩擦の構図
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1992~1992
研究担当者
発行年度 1993
要約 先進国の農産物過剰と開発途上国、旧計画経済国の食料不足。伝統的食料輸入地域のECは農業保護の強化により自給を達成しさらに輸出補助金により過剰農産物をダンピング輸出。アメリカも輸出補助金により輸出拡大を図り、貿易摩擦が深刻化。農業保護の削減は国際価格を上昇させ途上国の食料不足を深刻化させる。
背景・ねらい ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉は難航を極め1993年末
にようやく合意に達したが、全面的な解決は期待できず、いずれ穀
物貿易摩擦が再燃することは避けられないであろう。ここでは、穀
物貿易に焦点を合わせて世界の穀物需給構造を把握しその問題点を
確認するとともに、農産物貿易摩擦の構図を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 多くの先進国は農産物の過剰に悩み大半の開発途上国は食料不足に
    悩んでいる。穀物貿易では純輸出地域─先進国、純輸入地域─開発
    途上国・(旧)計画経済国、という構造が定着している。穀物貿易
    は1970年代には飛躍的に拡大したが、80年代にはそれが縮小ない
    し著しく停滞し、深刻な農産物過剰に陥り貿易摩擦が激化した。
    (図1)
  2. 80年代に農産物の過剰と貿易摩擦が激化した最大の要因は、伝統
    的輸入地域であったECが農業保護政策を強化して増産を著しく刺
    激し自給を達成しただけでなく、過剰化した農産物を補助金付きで
    ダンピング輸出したことである。
    (図2)
  3. 一国の農業保護は他国の農業保護を招く。半世紀ぶりの深刻な農業
    不況に陥ったアメリカは、過剰に対応して生産調整や支持価格の引
    き下げによる供給削減を図りつつ、ECのダンピング輸出に対抗し
    て補助金付き輸出を行い、貿易摩擦を一層激化させた。
  4. ウルグアイ・ラウンドの妥結に伴う輸出補助金の削減、輸入規制の
    緩和など農業保護の削減は、輸出力の減退と輸入需要の増大という
    両面から国際価格を上昇させるので、外貨不足に喘ぐ開発途上国や
    旧計画経済国の食料輸入が困難になり食料不足が激化するであろう

  5. 農産物貿易摩擦を緩和するには、食料不足の開発途上国や旧計画経
    済国の経済成長を日本をはじめ先進国がさまざまな形で積極的に支
    援することが重要である。
成果の活用面・留意点 これは、篠浦元研究員の遺稿をとりまとめたものである。その後、
事態は著しく変化しているが、事態の変化に対応した加筆修正は行
っていない。
図表1 228297-1.gif
図表2 228297-2.gif
カテゴリ 輸出

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