中国における食料流通システムの転換

タイトル 中国における食料流通システムの転換
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1993~1994
研究担当者
発行年度 1993
要約 中国の食糧流通システムは、改革前の直接統制システムから、1985年以降の複線型流通システムを経て、1992~93年以降市場流通システムを前提にした間接統制システムの段階に移行しつつある。
背景・ねらい 1970年代末に開始された中国の農業改革の中味は大きく分権化と
市場化に分けられる。このうち市場化改革が本格化するのは1980
年代半ば以降であり、1990年代に入りますます加速する傾向にあ
る。食糧管理制度の市場化改革も1990年代に入り大きな展開を示
している。本研究の課題は、1980年代以降とくに複線型流通シス
テムが形成される1985年以降の中国の食糧管理制度改革の過程を
とりあげ、食糧流通システムの転換という視角から分析することに
ある。
成果の内容・特徴
  1. 中国の食糧流通システムは、改革前の直接統制システムから、198
    5年以降の複線型流通システム(直接統制システムと市場システム
    との並列的結合)を経て、1992~93年以降市場流通システムを前
    提にした間接統制システム(市場流通システムと間接統制システム
    との重層的結合)の段階に移行しつつある。
    (図1)
  2. 複線型流通システムは、同一の商品の流通過程を直接統制部分と市
    場部分に分割しようとするものであり、流通システムとしては不安
    定であった。
  3. 1990年以降における食糧特別備蓄制度と食糧卸売市場制度の成立
    は、食糧流通を間接的に統制しうる可能性を政府に与えた。このこ
    とと1991~92年における配給価格の大幅な引き上げが、食糧直接
    統制の撤廃と食糧流通・価格の市場化を可能にした。
  4. 直接統制撤廃後の間接統制システムはなお成立の過程にあり、流通
    システムとしての評価を試みる段階にないが、今後焦点となるであ
    ろう点は、第1に国営食糧企業の食糧取り引き行動にいかなる変化
    が生じるか、第2に間接統制を行う場合の経費負担がどのように処
    理されるかであろう。
成果の活用面・留意点 中国における食糧管理制度の根本的な転換は、同国の今後の食糧生
産および消費の動向に多大な影響を与えるものと考えられる。
図表1 228302-1.gif
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