タイトル |
我が国食品企業の国際化の軌跡――キリンビールを事例として―― |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1993 |
要約 |
キリンビールをはじめとするわが国ビール企業の国際化の展開過程の分析を通して、わが国食品企業の国際化の背景、特徴、問題点などを明らかにし、その今後のあり方を提示した。
|
背景・ねらい |
円高及び農産物輸入の自由化などを背景に、わが国食品企業の国際 化が著しく進展しているが、本研究ではキリンビールをはじめとす る大手ビール企業4社を例に取り上げて、国際化の具体的な内容を 明らかにした。
|
成果の内容・特徴 |
- わが国ビール企業は、すでに戦前から輸出、現地生産など国際化に
積極的に取り組んでいたが、その主な対象は当時わが国の植民地で あった台湾、朝鮮、満州などであり、その意味では現在の国際化と 大きく異なっていた。
- 戦後のわが国ビール企業の国際化は、アメリカへの輸出によって再
開されることになったが、その環境は戦前と大きく異なりきわめて 厳しいものであった。ただ、国内市場が著しく拡大していたことも あって、ビール企業にとってはそれ自体戦前のように大きな意味を もつとはいえなくなった。
- わが国におけるビール消費の増加とともに、わが国でも海外ブラン
ドビールのライセンス生産が行なわれるようになったが、ビール企 業がそれを競争財としてではなく補完財として位置付けているため 、その販売シェアは僅か数%にとどまっている。ただ、その一方で 円高、ビール需要の多様化、並行輸入の進展などを背景に、ここ数 年アメリカなどからの輸入が大幅に増加しつつある。 (表1) - わが国ビール企業は、海外ブランドビールの国内ライセンス生産を
はじめ、海外企業への委託生産、海外企業との技術提携などに積極 的に取り組んできたが、それらは主にアメリカ、EC諸国の企業を 対象としていた。しかし、近年アジア諸国、とりわけ中国の存在が 注目されつつあり、わが国ビール企業も関心を寄せている。 (表2)
|
成果の活用面・留意点 |
わが国食品企業の国際化は進展しつつあるといわれているが、その 具体的内容にまで立ち入って分析された研究は少ない。その意味で 貴重な情報を提供すると考えられる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
カテゴリ |
輸出
|