不完全競争モデルと空間均衡モデルの結合による生乳市場分析

タイトル 不完全競争モデルと空間均衡モデルの結合による生乳市場分析
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1994
要約 不完全競争モデルと空間均衡モデルとを結合し、多地域間の輸送費を考慮した生乳市場の競争と協調を分析できるモデルを提示し、地域間「競争」は完全競争よりも不完全競争において熾烈であること等を示した。
背景・ねらい 生乳市場をめぐる生乳出荷団体間の競争と協調をより現実的に検討するためには、多地域モデルが要請される。多地域間の輸送費を考慮した均衡を扱うためには、空間均衡モデルが必要であり、それに加えて生乳市場の不完全競争が考慮されなくてはならないから、この場合、不完全競争モデルと空間均衡モデルとの結合が必要となる。
従来の生乳市場の空間均衡分析は、伝統的な空間均衡モデルを適用し、完全競争均衡解を求める形で行われてきた。したがって、完全競争でも独占でもない不完全競争下にあるとみられる現状の生乳の地域間流通を説明できる空間均衡モデルはなかった。本研究では、完全競争と独占を両極として、様々な組合わせの地域間の不完全競争を平易に空間均衡モデルに組み込むためのモデルを構築する。
成果の内容・特徴
  1. 完全競争と独占とをその両極に内包する一般的な一生産物の二重構造不完全競争空間均衡モデルを平易な二次計画問題として定式化し、九州地域の生乳市場分析に適用した。「二重構造」とは、この場合、プール乳価を所与として完全競争的に生産する酪農家と、酪農家の生乳の委託販売者として寡占的に生乳の売上高最大化販売をめざす指定団体が存在し、生産は完全競争的だが、販売は寡占的である状況をいう。このモデルでは、様々な組合せの地域間の不完全競争を平易に組み込めるだけでなく、飲用乳市場、限度数量内加工原料乳市場、限度数量外加工原料乳市場の区別を平易に組み込むことができる。
  2. このモデルを用いて計測した結果、生乳市場の「競争均衡」下のプール乳価は、従来の「プール乳価均衡」よりもかなり低い可能性があることが示された。
  3. また、一見不合理にみえる現状の錯綜した生乳移送は不完全競争を仮定することによって合理的に説明でき、地域間の「競争」は完全競争におけるよりも不完全競争において熾烈であることも検証された(表1)。
成果の活用面・留意点 今後のガット合意の実施に伴い、生乳出荷団体の競争と協調の選択により、どのような生乳需給構造と価格水準がもたらされるかを明らかにし、市場開放下における生乳流通政策を検討するための判断材料を提供する実践的なモデルとして役立つことが期待される。
図表1 228308-1.gif
カテゴリ 加工 出荷調整 乳牛 輸送

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