戦前期の農業における租税負担率の再推計

タイトル 戦前期の農業における租税負担率の再推計
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1994
要約 戦前期における農業と非農業の租税負担率を推計すると、負担率の格差は縮小するものの、一貫して農業の負担率が高かった。それは地租と地方税における農業負担の大きさに起因する。
背景・ねらい 戦前期の農業問題の焦点の一つであった農村負担軽減問題の背景を理解するためには、農業と非農業の租税負担率の格差を推計することが必要となる。また日露戦後の農村では、インフラストラクチュアの整備等積極的な農村開発が行われたが、その財源調達のあり方は、途上国の農村開発のファンドの形成に、間接的にでもせよ示唆を与えるものである。推計は直接税のうち農業と非農業の負担に帰属するものと産業別純国生産内の比率をとり、負担の推計方法は「恒松推計」の方法に依拠した。
成果の内容・特徴
  1. 「恒松推計」は、作業を行った時代に制約されて、主として財政のデータや利用したマクロ経済のデータに限界があった。本稿では対象とする直接税の範囲を明確にすると同時にすべて「決算」を使用した。またマクロ経済データも最近のものを使用した。推計の時期は、1890年から1937年である。
  2. 国税と地方税の負担額は、農業と非農業とも、日清・日露両戦時や第一次大戦中・後を除いた「平時」には、いずれも地方税が大きい。
  3. 租税負担率の格差は、当初より農業が非常に高く1890年には非農業の6倍であったが、その後縮小し日露戦時で2倍、1920年代には1.5倍となるが、格差が解消することはなかった(図1)。
  4. 第一次大戦後、国税の負担率の格差は解消するが(図2)、地方税の負担率の格差は解消しない(図3)。それは地租と家屋税・戸数割の農業負担の大きさに起因する(図4)。
  5. 以上の結論は、基本的に「恒松推計」のファクトファインディングを支持するものであるが、その水準や時期など細部に関して、新たな知見を加えた。
成果の活用面・留意点 農業の高い租税負担率を厭わず進められた地方自治体の農村開発が、住民のいかなる行政需要に対応したのかを、検討する必要があろう。開発途上国の農村開発のファンドの調達方法についても、住民の行政需要との関連で、検討することが必要である。
図表1 228323-1.gif
図表2 228323-2.gif
図表3 228323-3.gif
図表4 228323-4.gif
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