山間農業地域における地域活性化戦略と担い手対策

タイトル 山間農業地域における地域活性化戦略と担い手対策
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1994~1996
研究担当者
発行年度 1994
要約 第3セクターを地域農業振興の核に据え、独自の地域活性化戦略を展開している山間部の事例から、中山間地域農業の活性化への取組みの現状とその問題点を明らかにした。
背景・ねらい 本研究は、厳しい生産条件下にある山間農業地域の町村でありながら、第3セクターの設置や新規参入者の積極的な受け入れにより、中・長期的な視点に立った独自の地域活性化戦略を展開する島根県仁多町・横田町を事例に、中山間地域の活性化を図っていく上で極めて重要な鍵を握っている、地域農業の担い手創出に向けた取組み状況と今後の課題を明らかにしようとしたものである。
成果の内容・特徴
  1. 仁多町においては、新規作目として導入した菌床椎茸によって、地元農家の経営の安定を目指すとともに、住宅と栽培施設をセットに都会からのUターン者や新規参入者を募集し、菌床椎茸の生産拡大による一大産地化と定住促進の両面から、地域活性化につなげようとする試みがなされている。初年度事業における農外からの新規参入就農者は14世帯50名にものぼるが、第3セクターの設立によって、地域内での一貫した生産体系が確立されたことが、これら多数の参入者の受け入れを可能としている(図1)。
  2. 横田町においては、370haの国営開発畑の有効利用と地元で生産された農畜産物の付加価値化によって地域農業の活性化を図ろうとしている。これら戦略の中心は、第3セクターとして設立された横田町農業公社であり、農地斡旋・農作業の受託から農畜産物の加工・販売、更には新規参入者の研修に至るまで広範に事業を展開している(図2)。
  3. 両町における農業活性化策としての共通点は、県の「若い農業者就農促進対策事業」を有効に活用し、Uターン者や新規参入者を積極的に受け入れる等、地域農業の担い手確保に力を入れている点にある。町の強い指導力の発揮により受け皿作りがなされた結果、新たな地域農業担い手が着実に創出されつつあるが、農外からの新規参入者に対しては、研修期間の生活資金や経営開始当初の運転資金への対応等、きめ細かな受け入れ体制の整備が引き続き求められている。
成果の活用面・留意点 世襲的な経営が困難になりつつある中山間地域においては、新規参入者が地域農業の担い手の一員となるケースが増えてくると予想される。本事例は、中山間地域の農業活性化策を考える際の1つの参考となろう。
図表1 228327-1.gif
図表2 228327-2.gif
カテゴリ 加工 経営管理 生産拡大 中山間地域

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