コンティンジェント評価法における前提条件の考察

タイトル コンティンジェント評価法における前提条件の考察
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 環境便益等の経済的評価手法としてのコンティンジェント評価法におけるバイアスを避けるための設問の方法について明らかにした。
背景・ねらい 環境便益等の経済的評価手法として、コンティンジェント評価法(CVM)の有効性は広く知られているが、評価額にはバイアスが存在する。従来から、そのようなバイアスの原因の一つとして、CVMの設問における環境への権利想定や支払手段の取り方が指摘されてきているが、厳密な考察はあまり行われてこなかった。そこで、本研究では、前提条件の考察を通して、よりバイアスの少ない設問方法を明らかにして、CVMによる環境評価に基礎的視点を提供する。特に、環境変化の価値を税金や基金等によって評価される支出的評価と比較して、ある財の価格の変化によって評価する価格的評価の視点から、CVMの前提条件を考察する。
成果の内容・特徴
  1. CVMの理論的基礎となっている、厚生変化の貨幣的測度について、従来の議論を整理した。つまり、所得、環境および価格が同時変化するときの補償的測度EM・等価的測度CM、価格が変化する場合の補償変分CV・等価変分EV、環境のみが変化する場合の補償的余剰CS・等価的余剰ESについて、様々な用語があったので、これを概観するとともにCVMに必要な限りにおいて議論を整理した。
  2. これらの6つの貨幣的測度と、WTP・WAC、および外的条件に関する権利想定との相互関係を明らかにした。特に、価格的評価において、事前・事後の状況に権利が無ければ、状況が改善される(悪化する)ときには、事後状況を手放すための(受忍するための)WTPの減額で評価できることを、6つの測度について明らかにした。
  3. 使用する財の事前需要量が特定化できる場合のバイアスについて検討し、CSを評価するときに独立財を使用し、ESを評価するときには中立財を使用すれば、事前需要量固定にともなうバイアスがないことを明らかにした(表1)。また、価格的評価でも、事前需要量を固定化する必要のない、基本料金の変化によって環境改変を評価すれば、同様にこのバイアスを免れることを示した。
成果の活用面・留意点 本研究は、CVMを使用して環境便益・費用を評価する研究者・行政に基礎的知見を提供するものであるが、具体的な適用場面においては、調査の目的に応じたより妥当な設問を考案することが大切である。
図表1 228331-1.gif
カテゴリ 評価法

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