タイトル |
選択的減反の制度設計 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
政府が稲作所得の現状維持を目的として選択的減反の制度を設計すると, 減反率と減反参加のプレミアムは非常に高いものとなる。その結果,政府米は適正量集荷されるが,減反政策の社会的費用が一律減反時に比べ増加する。
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背景・ねらい |
選択的減反の下で,減反への参加の仕方は農家の自主的な判断に委ねられる。本研究では,以下の二つの論点を提示しながら,選択的減反の制度設計のあり方を論じた。一つは,生産性の高い農家が減反に参加せず,そうでない農家が減反に参加するような誘因メカニズムの設計についてである。もう一つは,制度変化に伴う政策コストの変化についてである。
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成果の内容・特徴 |
- モデルでは,政府が選択減反の内容を提示し,それに対して農家が減反参加と不参加のどちらか一方を選択するという,いわゆる「手上げ方式」を仮定した。
- 選択的減反の参加プレミアムを助成金の交付で行う場合,次のような結論が得られた。すべての農家の稲作所得を現状(一律減反時)の水準に維持しながら, 減反の政策コストを減少させるような選択的減反は存在しない。また,減反政策の社会的費用の最小化を目指す政府には,そのコストを消費者の直接的な負担(米の内外価格差に基づく死荷重)と,納税者負担(減反助成金の支出)とに振り分ける裁量が残される。
- 選択的減反の参加プレミアムを価格支持で行う場合,次のような結論が得られた。政府が稲作所得の現状維持を目的として,選択的減反の制度を設計すると, 減反率と減反参加のプレミアムは非常に高いものとなる。その結果,政府米は適正量集荷されるが,減反政策の社会的費用が一律減反時に比べて増加する。反面から言うと,選択的減反に関する政府の目的が,社会的余剰の増大にあるならば,減反率と減反参加のプレミアムを低く抑えなくてはならない。ただしその場合,政府米の集荷(減反参加農家の米供給量)が適正量を上回り,生産者余剰が減少する。
(表1)
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成果の活用面・留意点 |
減反参加の参加プレミアムを価格支持で行う場合のモデルでは,政府米と自主流通米の品質格差を考慮していない。
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図表1 |
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カテゴリ |
コスト
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