農産物貿易の自由化と環境保全

タイトル 農産物貿易の自由化と環境保全
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 2国1財の貿易モデルを用いて,OECDが主張している仮説(農業支持・保護の削減および貿易の自由化が環境保全に寄与する)を検討し,この仮説が農業の環境に与える負荷が輸出国より輸入国の方が大きいときにのみ成り立つことを示した。
背景・ねらい OECDでは,「農産物貿易の自由化は,環境保全コストの内部化した競争力の高い環境保全的な農業を生き残らせるため,環境に正の影響を与える」という主張が展開されている。この見解が正当なものであれば,ウルグアイ・ラウンドの合意を尊重し,貿易の自由化をさらに押し進めなくてはならないし,反対にOECDの主張になんらかの過誤があれば,環境保全と調和的な農業・貿易政策を模索しなくてはならない。本研究の目的は,貿易モデルを用いたシミュレーション分析により,OECDの主張の妥当性を検証することである。
成果の内容・特徴
  1. OECDの主張は農業の環境に与える負荷が,輸出国よりも輸入国の方が大きいときにのみ成り立つ。反面から言えば,輸入国の農業が環境に正の影響を与える場合,貿易の自由化によって,貿易当事国の環境がトータルで改善されることはあり得ない。
  2. 農業の環境に与える負荷が貿易当事国間で差がないとき,貿易の自由化は輸出国の経済厚生を低下させる可能性が高い。つまり,輸出国において,農業の拡大によって増大した外部不経済が,貿易利益によって相殺されることは希である。
  3. 途上国から先進国に農産物が輸出されるという垂直貿易の世界において,貿易の自由化は南北問題を深刻化させ,途上国の環境汚染を助長する。
  4. 環境保全費用の内部化は,資源配分の効率性を最高の水準に高め,同時に貿易当事国間における貿易利益の平等な分配に寄与する。しかしコストの内部化は,貿易当事国にとって自己執行的でなく,かつパレート最適の条件を必ずしも満たしていない。
    (表1.2)
    (図1.2)
成果の活用面・留意点 実証的な研究によって,仮説を検証する必要がある。
図表1 228342-1.gif
図表2 228342-2.gif
カテゴリ コスト 輸出

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