タイトル |
1980年代中期を境とする青果物流通システムの変化 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1995 |
要約 |
青果物流通システムにおいて1980年代中期を境に,卸売市場流通システムの後退,大規模拠点中央卸売市場への流通の集中,価格形成機能の変質といった重要な変化が生じている。
|
背景・ねらい |
近年,青果物流通システムが変化しつつあるといわれているものの,これに関する実証分析はこれまで行われたことがない。本研究は,その変化が始まった時期と変化の具体的内容とを統計データに基づいて実証し,さらに変化を引き起こした要因を解明することを目的としている。
|
成果の内容・特徴 |
青果物流通における重視すべき近年の変化として次の3点を挙げることができる。このうち,1及び2は1980年代中期を境に始まった,従来とは全く異なる変化である。
- 青果物流通システムの中で,従来とは逆に,卸売市場流通システムの後退が始まったことである。これは具体的には,卸売市場経由率の低下および卸売市場経由量の減少として現れている。この変化を引き起こした要因は,加工青果物流通量の増大や生産者直売所の伸長等である。
- 中央卸売市場の中でも大規模かつ拠点的な中央卸売市場へ,青果物流通が集中するようになったことである。これは具体的には,個別中央卸売市場シェアの上昇が80年代中期以後,大規模中央卸売市場の多で見られるようになったことに現れている(表1)。この変化の最大の要因は,産地側が出荷先の絞り込みを始めたことである。
- 従来の変化が一段と進展したものであるが,それは卸売市場における取引方法がますます多様化し,価格形成機能が変質したことである。取引方法の多様化は統計データでは,委託・セリ取引比率の低下として現れ,価格形成機能の変質は卸売市場間価格の平準化として現れている。これを引き起こした要因は,産地・出荷側と小売・仕入側の交渉能力の強化,および各卸売市場の集・分荷圏の広域化である。
|
成果の活用面・留意点 |
上記3つの変化の相互関連について,まだ十分に究明していない。
|
図表1 |
|
カテゴリ |
加工
出荷調整
|