野菜販売における有人生産者直売店方式の個別マーケティングの意義と限界

タイトル 野菜販売における有人生産者直売店方式の個別マーケティングの意義と限界
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 近年,個別マーケティングとしての有人生産者直売店(店員がいる生産者直売店舗)が野菜販売において急速に伸びている。有人生産者直売方式では,販売費用の削減,集客力の共有という意義を持つ反面,高い残品率,多品目少量生産による低収益性等の限界を有する。
背景・ねらい 従来,野菜販売における農業経営の個別マーケティングは,そのほとんどが卸売市場向け個人出荷,あるいは産地商人向け販売であった。ところが,1980年代後半以降,有人生産者直売店の開設が各地で相次ぎ,最近では100店内外に達する県も珍しくないほどとなり,有人生産者直売店が個別マーケティングの中で大きな位置を占めるようになりつつある。
そこで本研究では,埼玉,東京,和歌山,兵庫,岡山,広島6都県の有人生産者直売店において,そこへ出荷している生産者や購入に来ている顧客に対する聴取調査やアンケート調査を実施するとともに,販売データの分析等を行うことによって,有人生産者直売店方式の個別マーケティングの意義と限界を究明し,その今後のあり方を提示した。
成果の内容・特徴
  1. 有人生産者直売店方式の個別マーケティングの主な意義は,ア)多数の生産者が1つの店舗施設を利用するため,店舗償却費等の固定費用を販売高に応じた変動費用に変更できると同時に,販売のための諸費用の削減が可能になること,イ)多数の生産者による集合販売であることから,品数が少なく販売量がわずかな生産者,あるいは継続販売が困難な生産者の場合にも,極めて高い集客力を共有できること,ウ)多数の生産者が集合することから,農協の支援はもとより,国や地方自治体の助成を受けやすいこと,である。
  2. 有人生産者直売店方式の個別マーケティングの主な限界は,ア)日々の需給調整が難しいため,残品率が高くなる,イ)地場産品の販売であるため,品揃えが制約される,ウ)各生産者が個々に多品目少量生産を行うと,それぞれの収益性が低下する,である。
  3. 今後のあり方としては,ア)各生産者がそれぞれの栽培品目の基幹品目化を進めるとともに,広域流通が困難な商品(野菜)を開発すること,イ)有人生産者直売店を流通チャネルの1つと明確に位置づけ,他の流通チャネルとの体系化を進めること,ウ)個別マーケティングとはいえ,農協や地方自治体との連携を強めること,が重視される。
    (表1)
成果の活用面・留意点 有人生産者直売店方式の個別マーケティングは,地域ごとの差異が少なくないと思われるので,今後の対策を考える場合には,地域の特性を見極めることが必要であろう。
図表1 228347-1.gif
カテゴリ 経営管理 出荷調整

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