生産協同組合制度の試み―産業組合法及び農協法制定時の試み―

タイトル 生産協同組合制度の試み―産業組合法及び農協法制定時の試み―
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1995
要約 産業組合法成立の際に製産組合が生産組合と改められた理由は,製産組合が共産的共同体の母体となることがおそれられたためである。また,農協法成立の際に農業実行組合が成案とならなかった原因としては,農事実行組合の存在を無視したこと,法的安定性に難点があったこと,常時従事義務等を課さなかったことがある。
背景・ねらい 今後の農政展開に当たって,複数の農業者が協力して農業生産を行う組織を,どのように制度化し,家族経営との関係をどのように位置づけるかが大きな課題となる。本研究では,過去において生産協同組合を制度化しようとしながら制度化できなかった経緯を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 産業組合法案において,製産組合が生産組合に改められ,生産協同組合たりえなくなった最大の理由は,製産組合が社会主義者の理想とする共産的共同体の母体となることがおそれられたためであると考えられる。その社会的背景としては,日本ではストライキや労働組合結成の動き等が急速に進展し,社会主義化がおそれられていたことがある。
  2. 農業協同組合法案の立案過程において検討された農業実行組合構想は,次の理由でGHQの認めるところとならなかった。ア)農業実行組合は,戦前の農村では広く普及していた農事実行組合を手本にしていたにも拘らず,日本政府の案は,農事実行組合の実態としての存在にを無視したうえ,農業実行組合に統制権能を付与することとしていた,イ)農業実行組合に関しては,漁業生産組合と異なり,組合員の常時従事義務や員外従事制限を課さなかった。なお,農業実行組合構想では,法人でないものにも法的位置づ けが与えられ,法的安定性の観点からも難点があった。
  3. この考察を通じて,営利を目的としない法人は,その構成員又は運営方法如何によっては,国家意志に反することがおそれられ,あるいは国家意志の意のままに活動していると認識されることがあることが確認された。現憲法下でも,その設立が行政庁の認可事項である協同組合制度については,設立認可の意味と役割を再検討する必要がある。
    (表1)
成果の活用面・留意点 農事組合法人は,沿革的理由から届出制になっていることに留意する必要がある。
図表1 228348-1.gif
カテゴリ 経営管理

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