タイトル |
稲作の構造変化とその地域性 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
農地の受け手が十分に確保されているという条件の下で,米価の低下は地代率の低下を伴いながら,農地を小規模経営から大規模経営に移動させ,米生産の効率を高める。また米価の低下は稲作の地域特化を加速させる。
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背景・ねらい |
米の品質間格差,土地用益市場の地域性を考慮しながら,米価低下の構造誘導効果を米市 場と農地市場の連鎖といった観点から分析した。分析の力点は,土地用益市場の機能に置 かれたが,とりわけ,米価と地代の連動性,農地供給に対する地代の伸縮性が,考察のポ イントになった。
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成果の内容・特徴 |
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農地の受け手が十分に確保されているという条件の下で,米価の低下は,地代を農地需給 が均衡する水準まで低下させ,構造改善にとって意味のある農地流動化を促す。しかし, 受け手が弱体化ないし不在化している場合,米価の低下は耕作放棄の発生を不可避なもの とし,農地の流動化を損なう。
- 外国産米輸入とそれに伴う米価の低下により,一部の農家が米生産から撤退する。東北,
北陸,関東・東山,九州の中で,平均離農率の最も高いと予測されるのは,九州であり, 次いで,東北,関東・東山,北陸の序列である。また,離農世帯の農地供給と残存農家の 農地需要を一致させるためには,地代の圧縮が不可欠であるが,地代低下率と農地流動化 率を地域間で比較すると,その序列は平均離農率と一致する。
- 米価の低下は,利潤増大を図る上層農家に要求される最小必要規模を押し上げる。仮に上
層農家の経営目標を利潤の現状維持に設定した場合,米価低下率10%で,借地によってこ の規模に到達できるのは,北陸と九州の上層農家に限られる。また,米価低下率を10%と した場合,都府県平均農家が稲作利潤を現状の水準に維持するためには,借地とは別に, 1.5倍の自作地の拡大が必要となる。
- 米価の低下は,東北,北陸の米供給シェアを上昇させ,稲作の地域特化を加速させる。
(表1) (表2) (表3)
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成果の活用面・留意点 |
データ制約により,分析の対象農区が東北,北陸,関東・東山,九州に限定された。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
大規模経営
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