リンゴの品質特性と価格水準

タイトル リンゴの品質特性と価格水準
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1996~1998
研究担当者
発行年度 1996
要約 ヘドニック価格関数の計測結果を用いて品質に基づいた価格水準を推計し、国産リンゴと輸入リンゴには100円/Kg程度の価格差を示す大きな品質差が存在していたが、実際には、輸入リンゴには品質と比べて高い販売価格であったことから、国内産リンゴと充分な競争力を持ち得なかったことを示した。
背景・ねらい 日本のリンゴ産地では、消費者嗜好の変化に対応して、栽培品種の多様化・高品質化を進め
てきた。また、リンゴの輸入解禁に際して、国産リンゴが競争力を有するには、価格ばかり
ではなく品質の重要性が指摘されているが、これまでリンゴの品質がどのように評価され、
価格に反映されたかの分析はない。
ここでは、果実栽培における品質判定指標である糖度、酸度、果汁量等の物理特性値が、市
場の価格形成にどの程度反映されるかという問題をヘドニック・アプローチから捉える。次
に、推計されたヘドニック価格関数に輸入リンゴの品質データを代入し、市場が国産リンゴ
と同等の品質評価を行った場合に期待される、輸入リンゴの仮想的な価格水準を推計する。
これらの推計を通して、国内産リンゴと輸入リンゴの品質価格差を定量的に明らかにし、国
産リンゴがどのような競争性を持ちうるかを考察する。
成果の内容・特徴
  1. 消費者嗜好の変化につれて、リンゴは甘酸適和で果汁の多い品種が好まれるようになり、国
    光・紅玉、デリシャスをへて、現在の主要品種は、ふじなどのように、糖度が13~15%、糖
    酸比が25~45の枠内にある。一方、輸入品種は、糖度の低いものが多い6-1.gif">(第1図)。
  2. ヘドニック価格関数の計測によって、糖度、糖酸比、果汁の3品質変数が、リンゴの価格形
    成に大きく影響していることが示された。
  3. 国産リンゴで行った品質評価基準(ヘドニック価格関数)を輸入リンゴに適用し、品質を考
    慮した場合に妥当と思われる輸入リンゴの価格水準を推計した(第2図)。輸入リンゴの推計価格は、180~230円/Kgの水準となる。輸入リンゴの初
    年度卸売価格は、230~500円/Kgであったが、推計結果は、実際の価格が品質からみてかな
    り割高な水準であったことを意味している。
  4. 品質の劣る国内産リンゴは、輸入リンゴと推定価格が同水準となる。このことは、輸入リン
    ゴの価格低下が計られると、国内産リンゴは品質の劣ったリンゴで価格競争に直面すること
    を示唆している。国内産地としては、糖度の向上などの品質向上を図ることが、競争力を高
    めるための課題である。
成果の活用面・留意点 より精緻な分析のために、品質特性と価格に関するデーターの集積が必要である。
カテゴリ 評価基準 品種 りんご

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