関税化と小麦・小麦粉市場

タイトル 関税化と小麦・小麦粉市場
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1996~2000
研究担当者
発行年度 1996
要約 コストプール制約下の小麦・小麦粉市場の需給モデルを組立て、国内産小麦粉製品が輸入製品と価格競争力を持つためには、内麦買入価格を現行の88%まで引下げる必要があるが、この価格水準でも、3ha以上の生産規模ならば生産費を補償することを示し、国内生産の規模拡大が必要であることを示した。
背景・ねらい GATTウルグァイ・ラウンド農業合意を受けて、1995年より、小麦も現行の輸入割当制度を
廃止し、関税化に移行するが、実質的に現行同様の管理が存続する。しかし小麦二次加工
産業は、小麦粉など原材料の内外価格差を問題視し海外立地等の対応策を示し始めている。
食糧庁はコストプール方式による国内産麦保護の合理性と有用性を指摘し、また、他に替
わり得る有効な内麦保護政策がないことから、現状ではコストプール方式を続けざるを得
ないとの立場をとっている。しかしこのまま、内麦保護のコストをすべて消費者麦価に転
嫁し続けることは、国内小麦粉市場の縮小を招きかねず、結果的に、内麦の需要減につな
がる。
ここでは、関税化以降、コストプール方式のもとで、間接的負担者である小麦二次加工産
業の競争力を確保した上での、適正な内麦生産水準と内外麦の販売価格水準を推計するこ
とを課題とする。
成果の内容・特徴
  1. 小麦市場と小麦粉市場を同時に分析できる需給モデルを組み立て(第1図)、コストプール制約下における小麦・小麦粉価格の算定に関して、いくつ
    かのケースに関して、シミュレーション分析を行った。
  2. 小麦粉製品の関税率が引き下げられた場合、二次加工産業が輸入製品との価格競争力を維
    持するには、小麦粉価格の引下げが必要であり、コストプール方式のもとでは、生産者麦
    価の引下げが不可欠であることをシミュレーションから示した(第1表)。
  3. 1992年度を基準年として、国内産小麦の買入価格を127.9千円/t(現行の88%)に引下げる
    ケースにおいて、国内麦保護のコストを補償し、また、製粉企業と小麦二次加工メーカー
    の価格競争力の維持が可能となる。この生産者麦価水準は、1992年度の小麦生産費と比較
    すると、小麦の作付け規模別生産費(全国田畑計)の3.0ha以上層の支払利子・地代算入
    生産費(116.5千円/t)を補償していることから、国内麦に関しては、大規模生産への誘
    導が必要であることを示唆している。
成果の活用面・留意点 小麦・小麦粉市場の需給関数の精緻化を行うことで、より具体的な分析を行うことが可能
である。
カテゴリ 加工 規模拡大 コスト 小麦

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる