タイトル |
マレーシアにおける稲作政策の方向性と課題 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1996~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
第7次マレーシア計画期の稲作政策の目的として、補助金制度の見直しと農民組織化・集団化の推進が挙げられている。しかし、これらの政策課題の実現は、かなり難しいであろう。
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背景・ねらい |
本研究では、構造調整下におけるマレーシア稲作の政策展開を解明するために、第7次マ レーシア計画(7MP)が提示した米生産計画、補助金制度の見直し、そして農民組織化・稲 エステートの実現可能性について検討することを目的としている。
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成果の内容・特徴 |
- 7MPは、同計画期間(1996~2000年)中に稲作面積が66.6万haから40.0万haに大幅に減少す
る反面、単収が3240kg/haから4850kg/haに急速に向上することから、米生産量は1割程度の 減少に留まるとしている。しかし、稲作試験研究の弱体化や補助金制度の存続の可能性が 極めて高いことなどを勘案すると、稲作面積は若干の減少、単収は若干の向上に止まり、 生産量は現状並みで推移すると予測するのが妥当である。
- 7MPでは、従来から批判の強かった稲作補助金制度の抜本的見直しの必要性が強調されてい
るものの、具体案は提示されなかった。稲作農家が量的に一定の政治力を保持している以上 、7MP期間中に、政府が補助金制度の抜本的改革に着手することは極めて困難である。
- 7MPは、農民組織化・集団化による規模の経済性と資源の有効活用によって、稲作の収益性
を向上させていくとしている。しかし、農民の主体的・自発的参加というよりは、低金利 の融資やその他のインセンティブによって、政府主導の計画への参画に消極的な農家を強 引に組織化・集団化している状況では、農民組織化による効率性の向上は殆ど期待できない 。また、低収益性の稲作にどれだけの民間非農業企業が今後関心を示すか疑問である。
- 今後のマレーシアの稲作に求められているのは、農民が自発的・主体的に企業的経営を実
践するように努力することであり、また政府もそのような施策を講ずべきであろう。農民 組織化を推進するにあたり、参加農家の参画意識や主体性の向上を図っていくことが肝要 である。 (表1) (表2)
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成果の活用面・留意点 |
本研究は、マレーシアにおける稲作政策の新たな展開過程を論ずるに留まらず、参加型農 民組織の必要性を喚起しており、開発政策を実施する際の新たな視点を提供している。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
経営管理
しそ
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