中山間地域対策の現状と今後の課題

タイトル 中山間地域対策の現状と今後の課題
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 ハード事業を中心とする投資型の農業振興策のみでは,もはや中山間地域農業の維持・発展は困難になりつつある。地域農業の活性化に寄与する様々な助成措置とともに,環境や国土保全といった社会的視点をも取り入れた新たな政策手法を,現在の中山間地域対策に加えていくための検討が求められている。
背景・ねらい 中山間地域農業構造の変化の特徴と国補事業を中心とした農業振興施策の実施状況及びそ
の効果を統計データに基づいて検討し,現在中山間地域で展開されている各種の農業振興
策が,我が国の中山間地域問題を解決する方策となり得るのかどうかを検証すると共に,
新たな施策対応の可能性とその問題点について検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. 中山間地域における農業生産資源等のシェアや農業構造の変化,更には農家経済の特徴に
    ついての検討を行った。その結果,3~4割程度の農業シェアを占める中山間地域では,
    基幹農業労働力の高齢化と農地の荒廃が一段と進行していることが,また,農家経済の分
    析からは,特に山間農業地域で農業所得による家計費充足率が低く,かつ,平場地域に比
    べ生産性に大きな格差があることが確認された。
  2. 我が国の中山間地域対策の仕組みを四つの目標課題に即し整理した後,中山間市町村にお
    ける農業振興施策の現状を,国補事業費や制度資金残高のデータからマクロ的に分析した
    。これら分析からは,中山間地域では補助事業費の投入密度は高いものの,制度資金の投
    入密度が低く,補助事業を主体とした農業振興が図られていること-1.gif">(表1),また,事業の導入にあたっては行政主導型となっており,期待さ
    れた効果が得られなかった市町村が,山間農業地域に多いこと">(表2)などが明らかとなった。
  3. 国補事業費や制度資金の投入が地域農業の活性化に結びついているかどうかを相関分析に
    よって試みた。その結果,農業活性化度と制度資金の投入密度との間には正の相関が認め
    られたが,補助事業費密度との間には有意な相関はみられなかった.gif">(図1)。
  4. 以上の結果を踏まえ,中山間地域対策の課題を(ア)中山間地域農業をどう位置づけるのか,
    (イ)中山間地域対策は現状の手法のままでよいのか,(ウ)EUでの直接所得補償方式を日本
    に導入することが可能か,また有効な方法となりえるのか,(エ)直接所得補償の財源をどこ
    に求めるのか,(オ)直接所得補償を導入するとした場合の理由づけをどうするのか,の5点
    に整理し,それぞれ課題提起を行った。
地域農業への財政投入は,農業の活性化のみならず地域の活性化に直接的あるいは間接的
成果の活用面・留意点 地域農業への財政投入は,農業の活性化のみならず地域の活性化に直接的あるいは間接的
に作用している。また,農業の活性化に限定した場合でも,財政投入の波及効果は単なる
所得の向上ばかりでなく,例えば労働時間の省力化効果等となって発現している場合も多
い。したがって,本分析における財政投入効果は,極めて限定された条件の下での分析結
果である点を留意する必要がある。
カテゴリ 省力化 中山間地域

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