棚田による農村アメニティ

タイトル 棚田による農村アメニティ
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1997
要約 近年,農村地域が持つ公益的機能見直しの中で,棚田が関心を集めている。棚田には文化的価値,歴史的価値があり,棚田保全の政策手法としてオーナー制度,保全基金,条例等の手段があること,またそれぞれの手段の経済的な意味,今後の保全方策の課題と方向性が明らかになった。
背景・ねらい 中山間地域農村は社会経済的に多くの問題を抱えている。これまで,農業はもっぱら食
糧生産機能の面で理解されてきたが,近年,農村地域が持つ公益的機能の見直し,評価の
動きが活発となってきたのに対応して,わが国の伝統的な景観を形作る棚田,中でも千枚
田を残そうという動きが生まれている。棚田には文化的価値,歴史的価値,アメニティが
あり,それらの保全のためにオーナー制度,保全基金,条例等の手法がとられている。本
研究は,棚田の価値,アメニティが個々の保全手法によってどのように守られているかと
いう評価を行う。
成果の内容・特徴
  1. 棚田には,洪水防止などの公益的機能のほかに,美的な価値,水利,農地開発に関する
    技術の展示場としての教育的価値,文化的価値があり,それらが一体となって多くの人々
    の認めるアメニティを形作っている。従来,これらの価値,アメニティに対しては,主に
    都市住民が目を向けてきたが,近年では農村住民も認識し始めており,棚田サミットの開
    催や,棚田を活用した地域の活性化が各地で行われるようになってきた。
  2. また,価値やアメニティを維持保全し,人々に提供してきた農家に対して,オーナー制
    度(図1),基金(表1)の
    設置によって,一定の支払をするような施策も見られるようになっており,これらの施策を
    総合計画の中にもりこむ自治体が増えている。
  3. だが,このような棚田保全手法には実際のところ,費用や労働力の点で問題が多く,継
    続が危ぶまれている。特にオーナー制度の場合,農家,オーナー双方が棚田のアメニティ
    をどう評価するかによって,それぞれにとっての便益,費用が見合っているかどうかが定
    まるという状況にある(表2)。今後,棚田保全を継続
    的に行っていくためには,保全すべき棚田の特定,そのための手段について,総合的な検
    討を行う必要がある。
成果の活用面・留意点 各地域で棚田の保全の施策が模索されているが,棚田保全のためにはまず,農業や自然
を地域の中でどう位置づけるかの検討が必要である。
図表1 228420-1.gif
図表2 228420-2.gif
図表3 228420-3.gif
カテゴリ 中山間地域

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