食糧安全保障の視点から見たAPEC地域の農業開発の課題

タイトル 食糧安全保障の視点から見たAPEC地域の農業開発の課題
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約 APECアジアでは高い経済成長に伴って穀物自給率の急速な低下が起こっているが,世界穀物市場は,これまで世界の緩衝在庫の役割を果たしてきたアメリカの政府在庫の急速な縮小,地球温暖化等によるアメリカやオーストラリアの穀物生産変動の拡大のため不安定性を高めており,食糧安全保障の視点から輸出国・輸入国ともに地域資源の保全と有効利用にもとづく持続的農業開発を図る必要がある。
背景・ねらい APEC(アジア太平洋経済協力)地域は,現在,世界で最もダイナミックな経済成長を
遂げている地域で,世界人口の38%,世界のGDP全体の55%を占めている。このAPEC地域
では,高い経済成長に伴って農業・農村部門でも急速な構造変化が起こっており,APEC域
内の農産物貿易も拡大を続けている。本研究では,APEC地域の食料需給の動向を分析し,
食料安全保障の視点から,不安定性を増しつつある世界穀物市場の中でのAPEC地域の農業
開発の課題を検討した。
成果の内容・特徴
  1. APEC地域の中でも特にAPECアジア地域では80年代以降高い経済成長が続いている。
    この経済成長に伴って,畜産物消費の増加を中心とした食料消費パターンの変化,農業労
    働力の都市への流失,農地転用による農地面積の減少等が起こっており,農業生産力の脆
    弱化が見られる。特に,日本や韓国,台湾,マレーシアのアジアNIESでは,穀物自給率
    の急速な低下が見られ,現在では7割以上の穀物を海外からの輸入に依存している。
  2. しかし,世界穀物市場は90年代半ば以降逼迫化傾向を強めており,特にこれまで世界
    の緩衝在庫として国際需給の安定化に大きく貢献してきたアメリカ合衆国の政府在庫が急
    速に縮小している。
  3. さらに,80年代以降地球温暖化の傾向が現れており,中緯度地帯の干ばつ発生頻度の
    高まり等のため,世界の主要穀物輸出国であるアメリカ合衆国やオーストラリアの穀物生
    産の変動性が高まっている。不安定性を増す世界穀物市場の中で,APEC地域の食糧安全
    保障を確保するためには,輸出国・輸入国ともに地域資源の保全と有効活用にもとづく持
    続的農業開発を図る必要がある。
    (表1)
    (表2) (表3)(図1,2)
成果の活用面・留意点 APEC地域は世界で最もダイナミックな経済発展を遂げつつある地域なので,その農業
・農村部門の展開方向を明らかにするためには,その動向を今後とも注意深く見守ってい
く必要がある。
図表1 228428-1.gif
図表2 228428-2.gif
図表3 228428-3.gif
図表4 228428-4.gif
カテゴリ 輸出

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