国際米市場の長期的動向に影響を与える諸要因の定量的評価

タイトル 国際米市場の長期的動向に影響を与える諸要因の定量的評価
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 世界穀物需給モデルを用いた結果によると,GATT合意が世界米市場に与える影響は比較的限られていること,一方,需要面ではアジア諸国の経済成長の動向が,また供給面では単収上昇率の低下傾向が,国際価格に大きな影響を及ぼしている。
背景・ねらい 将来の米の国際市場については,主として市場の調整機能と技術進歩の進展に注目した楽観
論と,人口問題や資源・環境問題を重視する立場からの悲観論の両者が存在している。本研
究は各国における米の需要と供給の両面について,その規定要因の動向を総合的かつ定量的
に評価・分析する。
成果の内容・特徴
  1. 米・小麦・トウモロコシを対象とし,主要な生産・消費国を網羅する32ヶ国・地域を含んだ
    世界穀物需給モデルを開発し,穀物の国際価格が上昇傾向に推移する(米の場合は1993年を
    100とすると2010年で149に上昇)というベースライン予測結果を得た
    (表1)。 

  2. 次に,国際米市場に影響を与える要因として,貿易制度の変化,アジア諸国の経済発展,技
    術進歩の停滞,という長期的に国際米市場に影響を与える3つの制度的あるいは構造的な変
    動要因に注目してシミュレーション分析を行った。その結果(1)GATT合意による需要拡大
    は,米の国際価格を2010年においてベースライン予測値から3ポイント程度引き上げる効果
    を持つこと,(2)アジア諸国で経済成長が半分程度に減速した場合,2010年において国際
    価格が20ポイント程度低下すること,(3)「緑の革命」の効果が顕著であった1980年代の
    単収上昇率が再現すれば,国際価格は現在の水準よりも大きく低下する可能性のあること,
    を明らかにした(図)。
成果の活用面・留意点 単収上昇率の低下傾向については,技術進歩の停滞のみならず,高収量の近代品種から良味
質の在来品種に生産が回帰したことの影響等も一部で指摘されており,こうした点について,
さらに詳細な分析が行なわれることが望ましい。
図表1 228440-1.gif
図表2 228440-2.gif
カテゴリ 小麦 需要拡大 とうもろこし 品種

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