タイトル |
フランスにおける農村地域政策の特徴 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
フランスにおける農村地域政策は,地方分権化を含む制度改革を伴いながら展開してきており,地域レベルの農業振興計画では生産者の組織化や地域農業づくりの構想の立案に重点が置かれている。
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背景・ねらい |
フランスでは,農村経済の市場化や農業近代化政策の推進により生じる社会的に容認できない 格差の是正を目的に農村地域政策が講じられてきた。本研究ではこうした農村地域における振 興政策の展開をたどりつつ,農業の振興事業の実態と問題点を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
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フランスの地方整備や地方経済の振興を担う行政範囲として,従来の県は狭小すぎ,同国特有 の零細多数な農村市町村は,財源も人的資源も欠く(表1およ び図1)。このため,広域行政圏の設置(地域圏)とその権限強化や,市町村の組織化 (市町村協力)が進められ,これらが農村地域における振興政策を構想し,実現する機関とし て発展してきた。
- 国や地方政府は市町村レベルのイニシァティブの形成と組織化に対して誘因を与え,市町村レ
ベルの自立と責任を徐々に促す制度を積み上げてきた。70年代に展開した農村整備計画制度, 地域契約制度,80年代の市町村憲章制度が,その具体例である。この結果,農村振興を含めた 地方経済の振興や地方の整備については,国と地方政府あるいは地方政府どうしによる協議や 契約により,対等な資格で互いの権限を行使する仕組みが育ってきた。
- 最近の農業分野における振興事業では,このような地域組織がEU地域政策における農村区域
振興計画の実現で重要な役割を果している。従来の農業構造政策では,個別経営を政策対象と して多額の投資助成や補助金が投じられてきたが,受益者当たりの金額も少なく,広く薄い財 源配分を特徴とした農村区域振興計画では「集団的枠組み」による地域レベルの事業の立案, 実施が要請されるなど,農業生産者による組織化や地域農業の発展のための構想作りに振興政 策のねらいをおいた(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
フランスでは現在,新農業基本法案が審議されているが,そこでは,経営地方契約(CTE) という直接支払いの契約化が浮上しており,地域における契約類型の検討作業が進められてい る。こうした政策論争において従来の農村振興制度がどのように反映されるかが今後の政策上 の論点になる可能性がある。
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図表1 |
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カテゴリ |
経営管理
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