ドイツにおける農村地域政策の展開

タイトル ドイツにおける農村地域政策の展開
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 EU構造基金は,ドイツの農村地域においてはバイオマス・エネルギー装置など,地域資源を生かした就業機会創出のための事業に用いられており,それらの事業は地方分権的な行政システムに基づいて執行されている。
背景・ねらい ヨーロッパの農村地域政策に関して,日本では従来,条件不利地域対策など農家に対する
直接所得補償が関心を集めてきた。本課題では,日本における議論を念頭におきながら,
欧州で80年代末から域内の格差是正のために講じられている「もう一つの農村地域政策」
であるEU構造基金による農村地域政策をとりあげ,特にドイツにおける現地調査に基づ
き,(1)構造基金の財政上の位置づけ,(2)従来の農村地域政策との関係,(3)構造基金を
用いた事業の内容,(4)事業執行の仕組み,(5)今後の課題を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. EU構造基金の財政上の位置づけ:90年の統一以降,ドイツ国内の地域政策は旧東独地域
    に集中しているが,EU構造基金も旧東独の「目標1」地域(経済発展が遅れた地域)を
    中心に投入されている(表1)。 

  2. 従来の農村地域政策との関係:条件不利地域対策との差異は表2のように整理できる。
  3. 構造基金を用いた事業の内容:旧西独の「目標5b」地域(人口減少傾向にある農村地域)
    では,バイオマス・エネルギー装置,高速道路沿いのサービスエリアなど,地域資源を生
    かした就業機会の創出が,旧東独では経営の近代化,インフラ整備が行われている。
  4. 事業執行の仕組み:事業執行に関わる実務は,旧西独の場合,既存の農村地域政策(連邦
    と州の共同による農業構造政策,州の農村開発プログラム)を動かしてきた地方分権的な
    行政システムによって担われている。
  5. 今後の課題:農村地域政策においても,EU統合の論理(域内格差是正)と地域の自律性
    をどう両立させるかが今後の課題である。
成果の活用面・留意点 EU委員会は現在,構造基金の対象範囲の見直し,手続きの簡素化を提案しており,旧西
独に配分される構造基金は削減される可能性がある。
図表1 228442-1.gif
カテゴリ 経営管理 バイオマスエネルギー

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