高度成長下インドネシア灌漑地帯の階層構造の変容

タイトル 高度成長下インドネシア灌漑地帯の階層構造の変容
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1998
要約 インドネシアは1980年代以降高度成長を経験し,農村にも非農業就業機会が増大した。土地なし層の就業も多様化し,稲作生産力の規模間格差はないので,従来の経営規模に代わって世帯主の職種による階層区分が有効である。
背景・ねらい 途上国において急激な経済成長は所得分配のゆがみや,地域間格差の拡大をもたらすこと
が懸念される。インドネシアでは1980年代後半以降,年率6~9%という高水準の経済成
長が持続した。本研究は,このような高成長が農村にもたらした社会経済的影響を,稲作
生産力構造,多就業性とその変化から捉えることをねらいとする。調査対象地は経済発展
が顕著でかつ先進灌漑稲作地帯の西ジャワ州の平均的な純農村である。1996,97年に1か
村から無作為抽出された111戸を対象に聞き取り調査を実施した。
成果の内容・特徴
  1. 水田所有は,職田が貸与される特権的な役人層に集中するきわめて不平等な構造となって
    おり,その起源は20世紀初頭の植民地時代にまでさかのぼる。しかし貸借を通じて経営地
    の分配はより平等化している。過去10年に遡って経営規模の変動をみる限り稲作経営の両
    極分解的動きは観察されない(表1)。また,生産費
    調査によって,現在の技術体系では分解の経済的基礎である規模間の生産力格差も存在し
    ない(表2)。 

  2. 高度成長期にジャワ農村では農地を所有も経営もしない土地なし世帯が増大してた。調査
    村でも世帯の半分は土地なしである。また,ほとんどの農家も非農業就業に就いている。
    したがって土地保有を指標とする従来の農村階層区分はもはや有効ではない。本研究では,
    過去1年間の全世帯員の就業・就学状況の調査結果から,世帯主の職種による階層区分が,
    世帯所得の水準と分布に適切に対応しており,有効であることを実証した
    (表3)。
成果の活用面・留意点 1997年夏以降の経済危機の影響は,別途検討する必要がある。
図表1 228446-1.gif
図表2 228446-2.gif
図表3 228446-3.gif
カテゴリ 経営管理 水田

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