自足型社会としての島嶼地域における物質・エネルギー循環

タイトル 自足型社会としての島嶼地域における物質・エネルギー循環
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1998~2001
研究担当者
発行年度 1998
要約 自足型社会という理念型=出来るだけ環境に負荷を与えない農村社会を想定し,その在り方をモデル的に検討する一環として,島嶼地域を対象に物質・エネルギー循環構造の調査・分析を行い,農産物,エネルギーの自足性の低さを指摘した。
背景・ねらい 経済成長の鈍化や環境の制約の厳しさが増す中で,出来るだけ環境に負荷を与えない社会
の出現が期待されている。本研究では,こうした観点から,農村での生産,生活の全体を
見直すため,生態系とのバランスを重視した生産,生活が行われている地域社会=「自足
型社会」を想定し,そのあり方と今後の課題を,相対的に孤立した地域であり物質・エネ
ルギー循環の容易な島嶼地域を対象にモデル的に検討する。
成果の内容・特徴
  1. わが国有数の花き生産地域であり,環境に優しい農業生産,生活のあり方を追求する等,
    先進的な取組の見られる鹿児島県沖永良部島を対象に,島を巡る物質・エネルギー循環構
    造を分析し,島の自足性に関する評価と新たな社会の形成に向けての課題の整理を行った。

  2. 物質・エネルギー循環分析から,農産物の自給率は概して低く(野菜で30%程度),エ
    ネルギーはほぼ島外からの移入に依存していることがわかる(図-1,表-1)。また,有機性廃棄物の農業
    への利用については総作付け面積の20%程度の利用に過ぎないなど(表-2),自足性は極めて低いことが指摘できる。
  3. 今後の課題として,花き栽培への特化が進む中で,大量の水と農薬投入に伴う水質汚染の
    問題,水田の消滅・サトウキビの減少等の土地利用のアンバランス,生活面での廃棄物の
    困難化,労働強化による健康への悪影響,海洋汚染などの問題に対する抜本的な対処のあ
    り方,およびそのための住民の環境保全意識の発揚,形成が挙げられる。
成果の活用面・留意点 今後「自足型社会」のあり方,実現の可能性を追求するには,物質・エネルギー循環分析
の精緻化を図るとともに,住民の生活様式,価値観など社会意識の調査が必要である。
図表1 228448-1.gif
図表2 228448-2.gif
カテゴリ 病害虫 さとうきび 水田 農薬

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