農業外からの新規就農者の動向と市町村段階の支援体制

タイトル 農業外からの新規就農者の動向と市町村段階の支援体制
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1999~2001
研究担当者
発行年度 1999
要約 新規参入に対する支援措置は,地域別にみた場合に新規参入の確保と相関があり,支援措置の有効性が確認される。新規参入に対する支援の有効性を発揮させるには,国・県・市町村の連携および支援措置のセット化が必要である。今後の課題として,農地斡旋をあげている市町村が多い。
背景・ねらい 農山村地域における農業の担い手の減少・高齢化は,農業生産力の低下や地域資源管理の困難性を招いており,このような状況に対処するためには,多様な就農ルートを通じて地域農業の振興に貢献する担い手を確保・育成することが急務となっている。
本成果は,全国的なアンケート調査を用いて,農外からの新規就農者(新規参入者)の動向,国・県・受け入れ市町村の支援措置・体制,今後の課題を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 新規参入者に対する支援措置を実施している市町村割合は全体で21.0%であり,地域ブロック別では北海道,中国,九州・沖縄,東北の順に割合が高く,地域類型別では中間農業地域,山間農業地域での実施率が高い。これより,新規参入者に対する支援は,総じて過疎化に伴い農業の担い手不足が深刻化している日本の南北と中山間地域で盛んに取り組まれていることがわかる。また,新規参入者に対する支援措置の実施率は新規参入者の確保率と相関があり,支援措置の有無が参入状況の差となって現れていることが確認できる(図1)。
  2. 新規参入者に対する個々の支援措置の実施状況を「市町村単独の支援措置」および「国県の支援措置を活用」しているケースでみると,就農相談や農地,住宅斡旋などの現場に近い情報であるソフト面を受け入れ市町村が主導し,設備投資等の経費の面で市町村ベースでは行うことが困難なハード面の支援措置(技術研修用の農場・施設の設置,営農資金の助成,機械・施設のリース等)を国県が補完するという分担関係が確認できる(図2)。また,新規参入者の確保に当たっては,市町村および国県が連携・協力関係を形成すること(支援主体の総合化),および個々の支援措置をセット化・総合化すること(支援措置の総合化)が有効であることがわかる(表1)。
  3. 多くの受け入れ市町村は,農地,資金,技術,住宅等を就農支援において整備拡充すべき課題としてあげており,就農支援策が充実しつつあるとはいえ,就農における基本的な支援措置が遅れていることを示している(図3)。特に,農地は主要な地域資源であり,その保全管理という点からも新規参入者に対する早急な農地斡旋システムの構築が望まれる。
成果の活用面・留意点 本アンケート調査は,平成9年11月~平成10年1月にかけて,農業委員会系統を通じて実施した全国調査であり,配布数3,236,回収数2,616,回収率80.8%であった。なお,アンケート分析には,新規参入者以外の就農形態(Uターン就農者等)は含んでいない。
図表1 228457-1.gif
図表2 228457-2.gif
図表3 228457-3.gif
図表4 228457-4.gif
カテゴリ 就農支援 中山間地域

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