構造動態モデルによる地域農業構造の将来予測

タイトル 構造動態モデルによる地域農業構造の将来予測
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1999~2000
研究担当者
発行年度 1999
要約 趨勢での予測モデルによると,2015年までに我が国の総農家数は約4割,耕地面積は約2割減少すると見込まれる。これら構造変化の態様は地域類型により顕著な違いがみられ,中山間地域では新たに2割の農地が耕作放棄になると予測される。
背景・ねらい 国内農業は,農業労働力の高齢化等によって農業生産力が減退する地域が続出しており,現状のまま推移すれば,近い将来,農業生産の継続が困難となり,農地の荒廃が進行する地域が多数出現すると危惧される。多様な地域性を有する国内農業の維持・発展を図っていくためには,地域の実情に即した農業・農村施策を展開することが不可欠であり,そのためには,地域農業の将来像を具体的に提示することが求められる。本成果は構造動態統計を用いた予測モデルにより,西暦2015年における形態別の農家数や農地利用状況を地域別に推計し,農業構造変化の態様とその地域的特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 2015年の総農家数は,モデルⅠ(90-95年間の趨勢によるモデル)で216万戸(減少率37.3%),モデルⅡ(規模拡大農家の出現確率が現状よりも2割程度高まることを想定したモデル)で218万戸(同36.6%)となる。両モデル共に零細規模層での農家数の減少が進み,モデルⅠでは1ha未満の販売農家,モデルⅡでは自給的農家の減少率が最も高くなる。なお,5ha以上の農家数は両モデルともに増加となり,これら農家のシェアは,95年の2.5%からモデルⅠで4.2%,モデルⅡで4.7%にそれぞれ高まる。(表1)
  2. 地域別に農家数の動向(モデルⅠ)をみると,北海道では自給的農家の減少率が53.9%と高く,総農家数の減少率も42.3%と都府県平均を5ポイント上回る。他方,都府県では都市的地域での減少率が43.6%と最も高く,次いで山間農業地域38.3%,中間農業地域36.5%の順となる。これら地域では,担い手農家(65歳未満農業専従者のいる主業又は準主業農家)の減少率が極めて高く,3地域共に5割を超える。(図1)
  3. 2015年の全国の耕地面積(モデルⅠ)は406万ha(減少率19.5%),うち北海道111万ha(同8.0%),都府県295万ha(同23.1%)と推計され,都府県での減少率が高い。都府県を農業地域類型別にみると,都市的地域の減少率が32.9%と最も高く,次いで山間農業地域29.8%,中間農業地域26.2%の順となる。減少要因をみると,都市的地域では専ら農外転用によるが,中間および山間農業地域では耕作放棄が中心となり,新たに2割前後の農地が耕作放棄されると見込まれる。(表2)
    なお,モデルⅡにより耕地面積を推計すると,441万ha(北海道118万ha,都府県323万ha)となり,減少率は12.5%まで低下する。
  4. 都府県について,上層農家(経営耕地5ha以上の農家)への農地集積状況をみると,平地農業地域での集積が進み,モデルⅠでも10.5%から24.6%へと14ポイントの上昇となる。反面,山農業間地域および都市的地域では,それぞれ集積率は高まるものの,1995年時点での同比率が低いこともあり,構造改革がかなり進むことを想定したモデルⅡにおいても20%を占めるにまでには至らない(図2)
成果の活用面・留意点 本予測モデルは,1995年農業センサス農業構造動態統計報告書に掲載されている経営耕地規模別相関表に基づき作成していることから,都道府県別の推計まで可能である。なお,新設農家数については,同相関表の規模階層別新設農家数をそのまま固定して用いている。
図表1 228459-1.gif
図表2 228459-2.gif
図表3 228459-3.gif
図表4 228459-4.gif
カテゴリ 規模拡大 経営管理 中山間地域

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