立地条件別にみた市町村の活性度と活性化要因

タイトル 立地条件別にみた市町村の活性度と活性化要因
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 市町村活性度は,地域ブロック間よりも地域類型間での格差が顕著であり,活性度の低い中山間地域ほど農業を含めた所得水準の影響が強い。これら活性化要因は,市町村の社会経済的立地条件により大きく異なり,都市へのアクセスが悪い地域では,市町村の財政力や医療水準が所得水準を上回る要因となっている。
背景・ねらい 農山村地域に所在する多くの自治体では,過疎・高齢化の進行による農林業生産活動の停滞,農林地の荒廃はもとより,地域社会の急激な活力低下が懸念されている。これら自治体は極めて多様な立地条件下にあることから,地域の活性化方策も一様ではなく,それぞれの地域条件に応じた有効な活性化方策を見つけだすことが求められている。これに対し,本成果は地域の自然的・社会経済的な立地条件に応じた活性化要因を,市町村別統計を用いた計量分析から明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 各市町村の活性化状況を,定住人口の態様,すなわち総人口の増減,年齢別人口構成の変化等を示す10変数(表1)を用いて,主成分分析により計量的に求めた。この得点により,各地域の平均「市町村活性度」をみると(図1),農業地域類型間での格差が極めて大きく,中山間地域,とりわけ山間農業地域での得点が著しく低い。また,地域ブロック別には,山陽,山陰,四国,南九州といった西日本の地域で低い活性度となる。
  2. 上記得点上位25%の市町村を「活性型」群,同下位25%を「停滞型」群とし,活性化に影響を及ぼしていると推察される(表2)に示す5部門16指標の平均値を比較した。その結果,全地域,中山間地域共に交流事業実施集落率等の一部の指標を除き,「活性型」が「停滞型」の値を大きく上回る。また,これら指標を説明変数とした判別分析から活性化への影響度をみると,全地域を対象とした場合は,第3次産業就業人口率およびDID地区までの時間が,中山間地域のみを対象とした場合は,1人当たり課税所得およびDID地区までの時間が,それぞれ両群の判別に強い影響力を有する。また,上層農家率(全地域)や1戸当たり農業所得(中山間地域)等の農業関係の指標も比較的強い影響力を有しており,農業の振興が地域活性化に少なからず寄与していることを確認できる。
  3. 地域の活性化要因は社会経済的立地条件により大きく異なる(表3)。同じ中山間市町村であっても,都市へのアクセスが良い(最寄りのDID地区まで30分以内)市町村の場合,課税所得額が際だって強い影響力を持つ。これに対し,都市へのアクセスが悪い(同1時間以上)市町村の場合,当該市町村の財政力とともに医療水準(人口当たり医師数)の違いが地域の活性化に大きな影響を及ぼしている。
成果の活用面・留意点 本分析においては,他の地域ブロックと異なる人口動態を示す沖縄(53市町村)および農業生産の規模が著しく異なる北海道(212市町村)を分析対象から除外している。
図表1 228460-1.gif
図表2 228460-2.gif
図表3 228460-3.gif
図表4 228460-4.gif
カテゴリ 中山間地域

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