タイトル |
フランスの新農業基本法と「経営地方契約」のねらい |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
99年7月に成立したフランスの新農業基本法における「経営地方契約」は,農業補助金の公正な配分を行い,社会に対して農業者が受け取る多額の農業補助金を正当化することにねらいがある。
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背景・ねらい |
フランスで3回目の農業基本法が99年7月成立した。同法のかなめとなるのが,農業者に対する新たな直接支払いの枠組みを提供する「経営地方契約」である。本研究では「経営地方契約」の政策上のねらいについて明らかにした。
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成果の内容・特徴 |
新農業基本法における「経営地方契約」のねらいは以下の通りである。
- (補助金の再配分による公平化)フランスを含めEU加盟諸国の農業財政の中で様々な目的をもつ直接支払いの比重が増しているが,従来の価格支持政策と同様,穀作を中心とする大規模経営を利する点に大きな変化はない。そこで高額補償を受ける経営の補償金の一部を削減して主要な原資とし,農業社会内部の所得の再分配に貢献。
- (補助金の正当化)環境保全や雇用の創出,生産物の高付加価値化など社会的なニーズに適う営農活動に対して補助金を給付。
- (補助金の契約化)経営の所在地に始まり,家畜の登録番号,各圃場の作付け計画などを記入した申請用紙を届け出ることで給付を受けられた補助金に対して,「経営地方契約」の場合契約細則を実現する義務が発生(図1)。
- (開かれた農政と地方化)地域レベル(県)で地域農業の振興構想のほか,経営展開に関する契約項目と環境・国土保全に関する契約項目を立案し,中央行政機関,地方自治体,農業団体,消費者団体,環境保護団体,商工団体等の代表で構成される県農業基本委員会で承認(図2)。
- (補助金政策の簡素化) 将来的にはCAP改革による介入価格の引下げにともなう補償金を除き,多くの補助金を「経営地方契約」の仕組みに統合整理するねらい。
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成果の活用面・留意点 |
「経営地方契約」を実施に移す政令,省令,通達が出揃ったばかりであり,本格的実施は2000年からである。このため,その成果を評価するには時期尚早である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
経営管理
高付加価値
大規模経営
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