タイトル |
アメリカの保全休耕プログラム(CRP)の仕組みと評価 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
アメリカの主要な農業環境施策である保全休耕プログラム(CRP)は, 当初, 土壌保全や生産過剰対策として始まったが, 環境便益指数で水質・野生生物への影響を評価して対象地を選ぶなどの運用改善で, より純粋な環境対策になってきている。
|
背景・ねらい |
アメリカ合衆国の農業環境政策の分析を行うため,農務省の支出額でみて最大の施策である保全休耕プログラム(CRP)を取り上げ,制度の概要や影響などについて明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 保全休耕プログラムは,著しく侵食を受けやすい土地を10~15年の間休耕する場合に,農務省が地代を支払うという制度である。休耕地は草や木で被覆しなければならないが,地代に加え,それにかかる費用の50%を農務省が補助する。1985年の導入当初,土壌侵食の削減を第一の目的とし,それには生産調整・所得支持の側面も重要であったが,1990年代に入り,水質や野生生物などの,土壌侵食以外の環境影響も考慮されるようになった。
- プログラム対象農地の選定にあたり,1991年からは新たに考案された環境便益指数で応募があった候補地を評価し,環境保全の費用対効果の高い土地から順番に採択していくなど,より純粋な環境対策になりつつある(表1)。
- CRPの登録面積は1999年時点で1211万ha, 参加農場は27万(全体の12%),平均地代は年間1ha当たり11.5ドル,1農場当たり5,000ドル弱となっている(表2)。
- 農務省は,農産物市場モデル,土壌侵食影響評価モデル,水質改善評価モデルなどを用いて,CRPの社会的費用と社会的便益を試算した。それによると,CRPの社会的純便益は,1986~99年の期間合計で,42~90億ドルと推計されている(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
日本とアメリカでは農業の置かれた状況が大きく異なるとはいえ,制度の考え方,運用方法については,日本の農業環境政策の今後の方向を検討する際の有効な情報である。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
環境対策
|