欧州諸国に見る農村地域の環境・景観政策の比較評価

タイトル 欧州諸国に見る農村地域の環境・景観政策の比較評価
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 欧州諸国の農村環境・景観政策は,(1)生産調整(環境要件を付加),(2)管理協定・契約,(3)原則・規則,の3タイプに分けられる。各タイプにおける政策の適用性,歪曲性,コスト効率性,環境・景観への影響等について明らかにした。
背景・ねらい 近年における一般国民の農村地域の環境・景観に対する関心の高まりとともに,関連政策の検討が緊急の課題となっている。本成果は,欧州諸国における農村地域に対して適用されている環境・景観政策について比較分析し,その内容や政策的インセンティブを明らかにしたものであり,我が国における同政策のあり方に資する。
成果の内容・特徴
  1. 欧州諸国における環境・景観政策を対象に,制度の内容,政策としてのインセンティブ,各政策における適用性,生産に対する歪曲性,行政コスト,環境や景観への影響度などに関して政策対比を行い,表1のように総括できた。
  2. 農業・環境政策は,大きく3つの政策タイプに分類できる。すなわち,(1)セットアサイドなどのように生産調整に環境要件を付加したもの,(2)管理協定などのように農家の環境保全行為に直接リンクしたもの,及び(3)規則やPPPなどの原則によるもの,である。特に,(2)ついては,政策が直接的に環境・景観保全行為にリンクしている点で政策面での透明性が高く,生産に対する歪曲性が少ない。また,契約としての性格を有する政策ほどその傾向は高くなる。(1)については,一義的には生産調整が主体であり,環境政策としてはあまり大きな効果は期待できない。(3)については,概念的に受け入れられても,環境や景観の供給と需要には不特定多数が関与しており,実際の適用には困難が伴う。
  3. 直接支払による政策手段において価格支持が行われている限り,農家の損失に対する補償は社会的費用を上回って支払われることになり,農家に余分なレント(rent:移転所得)をもたらすことになる。この点で,間接的ではあるが生産を歪曲していると指摘される。
成果の活用面・留意点 欧州諸国における環境・景観政策を,我が国における農業の多面的機能の保全に関する政策議論に,どのように反映させるかを検討する際に有効な情報である。
図表1 228469-1.gif
カテゴリ 環境要件 コスト

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