トマト需要の多様化とトマトフードシステムの対応方向

タイトル トマト需要の多様化とトマトフードシステムの対応方向
担当機関 農業総合研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 家計消費・業務用需要の双方において,「赤系」トマトの利用増を中心とするトマト需要の多様化が進展している。これに対する国内対応の遅れが,トマト輸入増大をもたらす一因となっている。
背景・ねらい 野菜輸入増大の一因として,多様化する家計消費・業務用需要に対する国内生産対応の遅れが指摘されている。本研究では,トマトを対象として,多様化する需要とそれへの供給対応の実態を把握するとともに,生産・加工・流通・消費の相互関係の全体を一つのシステムとしてとらえるフードシステム的視点から課題と対応方向を考察する。
成果の内容・特徴
  1. 品種特性と用途という観点から広くとらえるならば,わが国トマトの基本的特徴は,ジュース等の加工原料用の「赤系」トマトと生食用の「ピンク系」トマトにほぼ二分されている点にある。
  2. トマトの需要動向の特徴として次の点を指摘することができる。国内消費仕向量・仕向先割合の推計を行った結果,80年代から90年代にかけて,外食等業務用需要の比重の増大がみられる(図1)。また,家計消費,業務用の双方においてトマト需要の多様化が進展している。これは,生鮮トマトの生食以外の多様な利用やホールトマト缶詰消費の増大として現れており,「赤系」トマト需要の増大として把握する必要がある。
  3. こうした需要の動きに対する供給面の対応をみると,国内生産の場合,量的側面については,出荷数量の月別平準化が進展しており周年消費需要への対応は進んでいる。しかし,質的側面からみるならば,「ピンク系」トマトを基軸とし特定品種への集中化を強めるものとなっている(表1)。生食を前提とした「ピンク系」トマトでは,多様化する家計消費・業務用需要に対して十分に対応することはできない。この国内産地対応の遅れが作り出す間隙を埋める形で,ホールトマト缶詰や,業務用需要及び家庭での加熱調理需要との結びつきを意図したアメリカ産生鮮「赤系」トマトの輸入が増大している(図2,3)。
  4. わが国トマトフードシステムは,潜在的なものも含め,消費者・実需者の多様化するトマト需要に対し,そこから求められる品種特性情報を生産側に的確に伝達する機能面において必ずしも十分ではない。今後は,生食「ピンク系」に偏った生産・流通から,外食・中食企業及び家庭でも形成されつつある「赤系」トマト需要を吸い上げ,多様化する需要に対応できる品種開発と消費起点の生産・流通体制の構築へと転換していく必要があろう。
成果の活用面・留意点 品質やコスト面における輸入品との競合を念頭に置いた,「赤系」トマトの国内産地育成に向けての条件を明らかにする必要がある。
図表1 228473-1.gif
図表2 228473-2.gif
カテゴリ 加工 コスト 出荷調整 トマト 品種 品種開発

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