タイトル |
産業連関モデルによる農業部門のコスト変動要因の分析 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
産業連関分析により1980年から1995年までの農業部門のコスト変動の要因分析を行った結果、農業資材価格の変動は、耕種ではコストを上昇させる要因として、反対に畜産では低下させる要因として働いることを計量的に明らかにした。
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背景・ねらい |
農業の成長と農業資材産業の成長は、アグリビジネスの一部分として相互に関連しあっている。本研究では、産業連関分析の手法により、1980年から1995年までの農業部門のコスト変動の要因分析を行い、農業と農業資材産業がどのような関わりのもとに成長してきたかを明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 均衡価格モデルにより農業部門のコスト変動の要因分析を行った結果、中間投入コストの変化については、耕種(図1)では、3期間において農業資材価格の変動がコストを上昇させる要因となった。一方、輸入価格変動の要因は、85-90年、90-95年とコストを低下させる方向に働いた。また、農業への投入係数変動の要因は、80-85年及び90-95年においてはコストを低下させる方向に働き、反対に85‐90年ではコストを上昇させる要因となり、ともに影響度は大きい。
- 畜産(図2)では、90-95年の農業資材産業の輸入係数変動を除く全ての要因が3期間とも中間投入コストを低下させる方向に働いた。特に、農業資材価格変動の要因がコストを大きく低下させる方向に働き、その程度は期間が進むにつれて高まってきた。また、85-90年以降、輸入価格もコストを低下させる要因としてみられるようになった。
- 国内価格変動が耕種のコスト変動に大きな影響を与えた部門は、農業資材産業では、農薬、農業サービス(例、カントリーエレベーター)、化学肥料であった(表1)。畜産のコスト変動に対しては、飼料作物、飼料が大きな影響を及ぼした(表2)。
- また、順位相関係数で、コスト変動と構造要因及び価格変化要因との関係をみると、耕種、畜産を問わず、いずれの期間においても構造要因とコスト変動との相関が高く(0.78~0.91)、農業部門のコスト変動に及ぼす影響は、投入・産出構造に起因する構造要因の方が大きい(表1)及び(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
本成果は、農業部門のコスト変動のうち中間投入コストの変化要因について分析したものであり、付加価値部分に関してはコスト変動の要因として捉えていない点に留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
コスト
飼料作物
農薬
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