アメリカ・カナダにおける経営単位の農業経営安定対策と品目別施策の関係

タイトル アメリカ・カナダにおける経営単位の農業経営安定対策と品目別施策の関係
担当機関 農業総合研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 アメリカ及びカナダの経営単位の農業経営安定対策(AGR、NISA及びAIDA)では、農業保険等の販売収入の低下をカバーする施策との重複加入を認め、それら施策による支払額を含めても一定の農業収入・所得に満たない場合に支払いが行われる。
背景・ねらい 農産物価格の低落や農産物輸入の増加等により、農業の担い手等の経営意欲の減退が懸念されており、『「経営を単位とした農業経営所得安定対策」今後の検討方向』が公表される等、農業経営安定対策の検討が現下の重要な政策課題の一つとなっている。
 本研究では、稲作を例に、収量保険(農業共済タイプの施策)、収入保険及び価格保険(稲作経営安定対策タイプの施策)の収入補てん効果等について分析を行うとともに、アメリカ及びカナダにおける経営単位の農業経営安定プログラムについて、農業保険やその他の政府助成プログラムとの関係の整理を行う。
成果の内容・特徴
  1.  北海道の稲作農家(約4,500戸)の過去10年間の農業共済被害率データを用いて、収量保険、収入保険及び価格保険の効果を分析を行った。その主な結果は次のとおりである (図1~図4)。
     ア 収入保険及び収量保険は、価格保険に比べて収入安定化効果が大きい。
     イ 収量保険と価格保険を組み合わせた場合には、農業者の手取収入の水準が最も高くなり、また収入安定化効果も最も大きくなる。しかしながらその場合の農業者負担は収入保険や収量保険の場合の2倍超となる。
  2.  経営単位の農業経営安定対策として、アメリカのAGR(Adjusted Gross Revenue)、カナダNISA(Net Income Stabilization Account)及びAIDA(Agricultural Income Disaster Assistance)を取り上げ、これらのプログラムと農業保険やその他の政府助成プログラムとの関係を整理・分析した(表)。その主な結果は次のとおりである。
     ア いずれのプログラムについても、農業保険(作物保険及び収入保険)との重複加入は認められている。また、災害等のため支払われた農業保険金の分だけ、各プログラムからの支払いは減少する。
     イ いずれのプログラムについても、農業保険以外の品目別施策等との重複は認められている。
     a. AGRにおいて、直接固定支払い等の政府助成プログラムからの支払いはAGR保険金の額に影響を与えない(助成プログラムからの支払額はAGR保険金から減額されない)。
      b. NISA及びAIDAについては、特定のプログラム(酪農補助金、野生鳥獣害補償等)からの支払いの分だけ引出額及び支給額が減少する。しかしながら、特定プログラム以外のプログラムからの支払額は、NISA及びAIDAの引出額及び支給額に影響を与えない。
     ウ したがって、アメリカ及びカナダの経営単位の農業経営安定対策では、基本的には、農業保険等の農産物の販売収入の低下をカバーする品目別施策との重複を認め、それらの施策による支払額を加えても一定水準の農業収入または農業所得に満たない場合に、不足する分を支給するように仕組まれている。
成果の活用面・留意点 「経営を単位とした経営所得安定対策」の検討の際に、諸外国の事情に関する基礎的な知見を提供することが期待される。
図表1 228476-1.gif
図表2 228476-2.gif
カテゴリ 経営管理 鳥獣害 乳牛

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