農地所有主体別にみた2015年の農地利用構造−構造予測モデルによる推計−

タイトル 農地所有主体別にみた2015年の農地利用構造−構造予測モデルによる推計−
担当機関 農業総合研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 2015年には農地所有主体の半数近くが土地持ち非農家となり,多量の農地が農家等へ供給されるため,都府県では借入耕地率が30%を超える。しかし一方で,土地持ち非農家および農家の耕作放棄地が大幅に増加し,耕作放棄地率は20%に上昇すると予測される。
背景・ねらい 2000年農業センサスは,営農の中心主体である農家の弱体化が引き続き進行していることを明らかにする一方で,減少傾向にあった農家以外の農業事業体の事業体数および経営耕地面積の増加といった新たな動きも示した。また,土地持ち非農家の数も増加しており,農地の出し手としてのウエイトを一層高めている。これら状況を鑑みれば,農村における農地利用は,これら異なる動向を示す農家,農家以外の農業事業体,土地持ち非農家の三者(農地所有主体)の状況によって,今後大きく変化すると予測される。
 本研究は,農地所有主体別の構造予測モデルを主体間相互の整合を図りつつ作成し,各モデルによる推計面積を総量統計化することにより,2015年における農地所有とその利用(農地貸借)状況を,耕作放棄の動向を含め北海道,都府県別に予測する。
成果の内容・特徴 予測モデルにより推計を行った結果,以下の点が特徴点として指摘される。
  1. 全国の2015年の農家数は2000年時に比べ31%減少し,北海道での減少率が高い。土地持ち非農家数は北海道で95%,都府県で79%の大幅な増加となる。また,農家以外の農業事業体総数は全国で8%の減少となるが,販売目的の事業体数は北海道,都府県ともに僅かながら増加する。牧草地経営体数は減少し,減少率は都府県で30%と高い。(表1)
  2. 全国の農地利用状況をみると,農家が所有する耕地面積は22%の減少となるが,土地持ち非農家からの借入耕地が増加することにより,経営耕地面積は14%の減少にとどまる。しかし一方で,耕作放棄地が79%の増加となる。
     他方,農家以外の農業事業体の経営耕地面積は3%の増加となり,2015年の同事業体の経営耕地面積シェアは8%へと高まる。また,土地持ち非農家が所有する農地は76%増加し,その多くは貸付耕地となるが,耕作放棄地も約2倍に増加する。(図1)
  3. 農地の利用状況を北海道,都府県別にみると,経営耕地面積総量の減少率は北海道で3%,都府県で16%と見込まれる。また,借入耕地総量は両地域ともに増加し,都府県での増加率が高い。したがって,2015年の借入耕地率は2000年時に比べ,北海道で10ポイント,都府県で20ポイント上昇する。
     なお都府県では,耕作放棄地が85%と大幅な増加となり,今後15年間に,約28万haの耕地が新たに耕作放棄されると見込まれることから,2015年の耕作放棄地率は10ポイント上昇し,20%近くにまで達すると予測される。(表2,図2)
成果の活用面・留意点 本結果は,1990年以降の趨勢による予測結果である。また,基本となる農家モデルは,2000年農業センサス結果により部分的な補正を行ってはいるが,1990-95年間の農家変動を捉えた1995年農業センサス構造動態統計に依拠している。したがって,2000年農業センサスでの同統計が公表された時点で再集計を行い,本結果を検証する必要がある。
図表1 228478-1.gif
図表2 228478-2.gif
図表3 228478-3.gif
図表4 228478-4.gif
カテゴリ 経営管理

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