タイトル |
フランスにおける環境支払いの展開 |
担当機関 |
農業総合研究所 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
フランスの環境支払いには粗放的な草地畜産の維持に政策的なプライオリティがある。現行の単価設定の原則においては,プログラム参加への誘因や施策の公平性に政策課題が残されている。
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背景・ねらい |
フランスにおける環境支払いについて,農業所得に及ぼす影響や農業所得の分配に及ぼす影響を明らかにするとともに,政策課題について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- フランスにおける環境支払いは,農業関連歳出の中ではマージナルな財政規模であるが,ハンディキャップ補償金に次ぐ,第3の直接支払いとして登場した(図1)。
- 給付の目的は,集約的な耕種生産による環境負荷の軽減と、粗放的な草地畜産の維持による景観や環境の保全である(表1)。歳出構成をみると8割強が後者に投じられており、政策的プライオリティが粗放的な草地畜産の維持に置かれている。
- 中山間地域に展開する粗放型畜産は農業所得が低い部門であり,環境支払いの所得への寄与はかかる地域で高い(表2)。粗放型畜産による環境保全(景観やビオトープの保全,山火事延焼や雪崩の防止など)は,営農を継続するための所得が確保される必要があり,農業生産物の価格が低落傾向にあれば,環境保全の前提となる営農の継続性が懸念される。
- 環境支払いにより集約的な農業による環境負荷の軽減を図る場合、農業者の参加を高めようとすれば,価格支持や政策価格の引き下げに対する所得補償によって所得が引き上げられた分、高い単価が設定されなければならない。このことは,政策の公平性の問題を引き起こしている。農業者の理解と関心を高め,農業者の参加を促すには,経済的な誘因を提示するだけでは達成されず,農業者に対する指導・普及活動の重要性が示唆される。
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成果の活用面・留意点 |
近い将来,環境支払いは1999年新農業基本法により導入された経営地方契約に統合され,実施されるようになる。このため環境支払いの制度は流動的である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
中山間地域
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